芸人がつくった日本語

たぶん、誰かがまとめているとは思うのだが、テレビで芸人が発した言葉が、日常の
ことばに定着することがある。


古くは大橋巨泉が、巨乳のことを「ボインちゃん」と言って流行していたが、さすがに
80年代には廃れた。
明石家さんまがセックスのことを「エッチ」と言い出してから、性行為にまつわる後ろ
めたい感じが払拭され、若い女の子でも恥ずかしげもなく「エッチした」などと言う
ようになった。もともとは変態の頭文字だったのは言うまでもない。


90年代からの日本語に大きなインパクトを残しているのが、ダウンタウン松本人志だ。
関西ローカルで使われていた言葉を、全国区にした功績(?)はすごいが、メディアは、
あまり彼のことを、日本語の乱れの一因とはみなしてないみたいだ。


思いつくまま、いくつか挙げてみよう。
・広っ、旨っ、高っ、などの形容詞の語幹だけを使うパターン
・寒い、空気を読む、テンドンなどの芸人用語の一般化
・テンションが高い/低いという言い方
・必死やな、という揶揄した言い方
・○○的な、というぼかした言い方


こんだけしか書けなかったけど、注意していれば日常の言葉にもっと混合していると
思う。これが今後、辞書に収録されるような言葉として生き残るかどうかは分からない
けれど。


そうそう、とんねるずもその意味では「〜みたいな」や「お約束」という言葉を残して
おり、全盛期の存在感を偲ばせるものがある。


さて、いまの若手芸人たちは、一発ギャグとか流行語などではなく、普通の日本語に
定着してしまうような言葉を作る能力があるのだろうか?