顔と文章の関係

米原万里の「ガセネッタ&シモネッタ」というエッセイ集に『モテる作家は短い!』と
いうのがある。
曰く、ツルゲーネフチェーホフは美男であり、ドストエフスキートルストイは醜男だ
という。そして、作品の長さと作家のモテ度は反比例する、と結論づけている。


Wikipediaで写真を見てみたが、晩年の写真だったので、若いときにモテていたかどうか
よく分からない。チェーホフは、たぶんモテてたんだろうなぁ、と思うけど。
しかも、ロシア人の顔の美醜は、日本人の私にとってはよく分からん。


じゃあ、日本の作家ならどうか。
ちょっと思いつくままに挙げると、川端康成三島由紀夫はモテ系であろう。
井上ひさし松本清張非モテ系だと思う(←失礼だな)。
夏目漱石森鴎外になると、やはり若いときの写真を見たことがないからよく分からない
が、鴎外は「舞姫」から推測するとモテ系だったと思う。


以上の作家では、モテ系は短編型であり、非モテ系は長編型だということになる。
では、モテ系で長編型の作家、あるいは非モテ系で短編型の作家はいないのか? 


うーん、あんまり思いつかない。
いまどきの作家だと、石田衣良はモテ系の長編型ということになるのではないかと
思うのだが‥‥。
京極夏彦が若いときモテモテだったら、ちょっと面白いな。


まあ、昔と今とでは恋愛の事情も違うので、いちがいにモテと非モテを分けるのも
乱暴な話だが、傾向としては醜男が長編をものにする率が高いような気がする。


余談だが、さっきWikipediaで調べたら、井上ひさしの二番目の妻って、米原万里
妹なのね。知らなかった。
だから『モテる作家は短い!』なんて書いたのかも。