不文律

世の中には、正式な文書があるわけでもないのに、やっちゃいかんことが暗黙のうちに
決まっていることがある。そういうのを不文律というそうだ。


この不文律を身につけるには、それが支配している社会の内側にいて、しばらく経験を
積むしかない。
そして、何度か失敗をして初めて、不文律のぼんやりした形が分かってくる。
何年経っても不文律が分からない人は「空気の読めない奴」とされ、仲間はずれにされる
こともある。


なんでこんな話をするかというと、企業買収のニュースを見ていたら、どうも対立する
原因は不文律にあるんじゃないかと思ったからだ。


日本の企業社会は、長らく老人が支配しており、企業社会に長年いる者だけが分かる
不文律を共有していたと思われる。
長生きしてる方が偉かったのだ。


しかし、新興の金持ちは若い。それゆえに、正規の法律にのっとってコトを進めようと
する。不文律? 何それ? という話だ。


では、こういう不文律を打破したら、いろいろ風通しがよくなるのだろうか? 
たぶん、よくなる部分もあるだろう。いまの世の中の閉塞感が、少しは緩和されるの
かもしれない。


だが、無意識のない人間がいないように、不文律のないコミュニティーというのはあり
えないと思う。


ということは、もし新興の金持ちが老人たちを首尾よく追い出したとしても、新興の
金持ちの間での不文律というのが必ず成立するはずだ。
そして、それを不満に思う人も確実に出てくるだろう。


こうして人間が仲間を持つ限り、不文律というものも存在するのだね。
もちろん、ネットの中だってそうだ。


私は、どんなところでも「空気の読めない奴」になってしまう。
自覚しているだけマシか。