セックスメディア30年史

セックスメディア30年史欲望の革命児たち (ちくま新書)

セックスメディア30年史欲望の革命児たち (ちくま新書)

私たちの世代の多くは「道に落ちていたエロ本」が最初に触れる
性的なメディアだった。戦後とかではなく、80年代の話である。
拾ったエロ本をこっそり見るドキドキ感は、幼さゆえに特別の
ものがあった。


そのエロ本は、絶滅しつつある。
前にも川本耕次の「ポルノ雑誌の昭和史」について書いたが、
書店数の激減、コンビニでの厳しい規制などで、エロ本はネット
にアクセスできない老人たちのものになっている。


いまの少年たちが最初に接触するのは、ネットのエロサイトだろ
うか。同じようなドキドキ感があるといいのだが。


さて、本書はエロ本だけではく、出会い系サイトや大人のおもちゃ
までフォローしており、統計資料も併記していて社会学っぽい化粧
をしてある。


ただ、読みごたえのあるのはそういう部分ではなく、実際に商売
している現場の社長のインタビューだった。
特に、オナホールで画期的な商品を開発した株式会社典雅の社長
の話はすごかった。


もともとは輸入ヴィンテージカーの整備士をしていたそうだが、
あるときアダルトグッズの商品を見て、この市場にはまともな
ものがない、ちゃんとしたものを出せば必ず成功できると確信
し、貯金1000万円を元手に、2年間ひたすらオナホールの開発に
没頭する。


やっと完成した試作品をAV会社のソフト・オン・デマンドにみて
もらい、会社を設立、大ヒットして現在に至る、という。
開発のために何度も試さなければならないので、バイアグラ
飲んで装着感を調べていたというから、もはや苦行である。


いまの家電メーカーはプライドがあるから参入しないだろう。
なので、ベンチャー企業TENGAと提携して、ビデオやゲームと
連動できる装置を開発したら成功するのではなかろうか。
その際、プログラムをオープンにして、様々なソフトハウス
参入できるようにすると、市場も活性化するのではないかと思う。


エロに関しては、日本は世界一の技術と多様性を持っている。
しかも大企業は大手を振って参入できない。
これほどのビジネスチャンスを黙って見ている人はいないと
思う。若者よ、世界を目指そう!