常連さん

よく喫茶店や居酒屋なんかで、店の人と親しく話している客がいる。
自分の居心地のいい場所を確保しているような感じがしてうらやましい。
そういう「常連さん」になりたいと思っているのだが、なかなか
なれないのだ。


私はかれこれ3年ぐらい通っている定食屋があるのだが、店の人と注文以外
会話をしたことがない。たぶん、店のオヤジもバイトの女の子も、私の顔は
知っているだろうけど、あくまでも店に来たお客、という関係だ。


しかし、その店には明らかに常連さんがいて、中華鍋を振っているオヤジと
冗談を言ったりしているのである。


何のきっかけでそういう仲になれるのか? 
やはり自分から何か話しかけねばならんのだろうか。


だが、哀しいかな、私は自ら胸襟を開くということができんのである。
相手が話しかけてくれなければ、こちらがどういう態度をとっていいのか
分からないのだ。


かといって、美容室のように、なぜか髪を切っている間にずっと話しかけ
られるというのは苦痛なのだ。あれは黙っていてほしい。
この違い、分かってくれるだろうか? 分かんねーだろうなぁ‥‥。


そもそも、とりとめのない会話、というやつが難しいのだ。
プロ野球とか芸能界のゴシップなんていうのは苦手だし。
じゃあ、お前は定食屋のオヤジや喫茶店のマスターに何を期待しているのか、
と言われると返事のしようもない。


ただ、なんとなく常連さんという立場になってみたいだけなのだ。


そういや、ドラマみたいに、店に入っていきなり
いつもの
と注文する人を実際に見たことがないのだが、ああいうのは本当にある
のだろうか?