
- 作者: 中川淳一郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/03/25
- メディア: 新書
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私が若かったころは、宮沢りえとか広末涼子がテレビCMからブレイクした。
今はそういう人がいるだろうか。
深夜アニメばかり見ていると、ゴールデンタイムのCMが把握できないので
よく分からないが、ネットがある現在では難しそうだ。
本来は映画なりドラマで話題になった人がテレビCMに起用されるのだろう。
テレビCMから映画やドラマに出演するようになる方が例外なのだと思う。
ともかく、90年代ぐらいはそういう時代だったのだ。
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おそらくバブル期でもあったので、お金も潤沢にあっただろうし、才能ある
若者が面白そうだと思って広告業界に集まっていたのだろう。
それが不況に入り、失われた20年を過ぎると、こんどは過重労働で叩かれる
ようになった。昔から過重労働だったのだが、ハラスメントという言葉が
一般的になるにつれて、異常な労働環境が是正されるようになる。
その象徴になったのが、高橋まつりさんだったのだろう。
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本書を読むと、ぞっとするような話がちらほらあって、みんな心と体を蝕まれつつ
仕事をしているのだなぁ、と遠い目をしてしまった。
なんというか、権限を持ったバカのごきげんをどうやってとるのか、という
ことに終始しているのが広告代理店なのではないか、と。
つまり、スポンサーに対して何でもイエスと答えてしまう代理店も代理店だが、
わがまま言い放題のスポンサーもどうかしている。
どうしてこんな人が大企業の宣伝部に? という人がたくさんいるのだろう。
昨今の大企業の不祥事を見ていると、組織的にバカしか出世できないシステムが
完成しているのではないかと思わざるをえない。
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もうひとつ、気になったのはデジタル広告については、大手広告代理店が
出遅れていて、サイバーエージェントの方がブイブイ言わせている、という
ことだ。
新聞や雑誌の発行部数が右肩下がりになっており、テレビを見る人も少なく
なっているのに、どうも大手広告代理店はうまくシフトできていないよう
である。
もしかしたら、そういう広告には見切りをつけて、オリンピックとか選挙
などを仕切っていくことに重点を置くのかもしれない。
なんとなくそれがファシズムへ近づいているような気がするのは考え過ぎか。