去年の年末ぐらいからBSフジでドラマ「北の国から」を再放送している。
もう何度目になるか分からないが、再放送されるとつい見てしまう。
先週の「北の国から '89帰郷」を見ると、バブル期だったと思われるが、
やはり現在から見るとダサいというかひと時代前な感じがする。
特に洞口依子が演ずる不良少女が、いまではほぼ絶滅してしまったタイプで、
ギャル系の不良少女にいつごろから変化したのか知りたいところだ。
そういえば、田中邦衛は地井武男からカナダ産の木材を購入しており、やはり
北海道にもバブル景気は来ていたのかもしれない。
もっとも、倉本聰は89年より前に脚本を書いていただろうから、時代とのズレが
多少はあったのかも。
当時の風俗で、そういえばそうだったと思わされるのは、若い男が髪を染める
のはまだ一般的ではなかったことだ。
吉岡秀隆が茶髪にしているのが、なんだかとんでもない不良行為のように描かれ
ている。
いつから若者は気軽に髪を染めるようになったんだろう。
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歳をとってから「北の国から」を見てみると、わりとマッチョな思想が根底に
あることが分かる。
男はこうでなければならない、という考えがそこかしこに表現されており、
今だと違和感がある人も多いのではなかろうか。
それに、大都市の消費社会を批判しているものの、富良野でも近代文明は
否定していない。クルマや洗剤は当然のように使っているのである。
電力会社から配電してもらうのはダメで、風力発電ならタダだから良い。
水道局から水を通してもらうよりも、沢の水を使う方が良い。
テレビはダメだがラジオなら良い。
パソコンや携帯電話は全否定。
これらの判断基準は、倉本聰の中にしかない。
自然の中で暮らすといっても、江戸時代ぐらいまで戻るわけではないのである。
はっきり言えば、趣味で不便な暮らしをしているだけで、都会育ちのインテリの
自己満足にすぎない。
そういう暮らしを一人でやるならかまわないが、他人を巻き込むのはどうかと
思う。富良野塾はインチキな新興宗教とそれほど変わらないような気がする。
その意味で、このあいだ芥川賞を受賞した「シンセカイ」はちょっと読んで
みたい。