個人的な体験

個人的な体験 (新潮文庫 お 9-10)

個人的な体験 (新潮文庫 お 9-10)

どう感想を書いたらいいのか分からない。


こういう小説は、読むべき時期があって、それは人それぞれなのだろうけど、
私はいま読んで良かったのかどうか混乱している。
もっと若いときに読むべきだったのかもしれないし、中年になって読んだ方が
突き放して考えられるような気もする。


いや、年齢的なものではなく、子供がいるかどうかが重要なのかもしれない。
たぶん、自分の子供がいる人だと、読後感が違うのではなかろうか。


もっとも、小説の内容のような経験がなければ文学的なものは享受できない、
なんてことを言うつもりはない。
むしろ逆であろう。


文庫本の解説を読むと、最後のアスタリスク以降の部分は要らなかったのでは
ないか、という批判を受けたらしいが、私は別にそんなことは思わなかった。
発表当時に読んでいたらどうだったか分からないが。



小説には中古の赤いMGというクルマが登場する。
この作品が1964年に発表されたのだから、1961年から63年に作られた
MG Midget MkI だろう。今見ても格好いいデザインだ。


しかし、どうも大江健三郎はこういうスポーツカーにあまり興味が無いような
気がする。
たぶん伊丹十三の影響で、クルマに詳しくなったのではなかろうか。


そう考えると、果たして1964年当時、どのくらいの人が運転免許をとって
いたのかも気になる。
鳥(バード)もクルマを運転していたが、いつの間に免許を取得したの
だろう? 



いま映像化するなら、鳥(バード)は綾野剛、火見子は市川紗椰かな。
最初、鳥(バード)は草なぎ剛をイメージしていたが、ちょっと年齢が上すぎた。