
- 作者: 大江健三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1982/03/29
- メディア: 文庫
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思ったのだが、私は大江健三郎の小説を「死者の奢り」しか読んで
いない。江藤淳の著作に至っては皆無である。
なので、5年ぐらい前に古本屋で買っていた「ピンチランナー調書」を
読んでみた。これを選んだのは特に理由はない。
で、何とか最後まで読み通して、大江健三郎は何とか読者を楽しませよう、
笑わせようと努力しているのに、私はほとんど笑えなかったことに、自分の
頭の悪さを感じた。
ちなみに、私がちょっと笑いそうになったのは、森・父が妻にカミソリで
頬を切られているのに、森に呼びかける場面である。
主観的には修羅場なのだが、遠くから見ると喜劇のようで、その場面を
想像するとおかしかった。
が、文学的教養のある人ならば、もっといろんな意味を読み取って楽しめる
のだろうな、とも思う。
もしかしたら、森・父の ha ha という文字は、ここが笑うところですよ、
という作者からのサインなのかもしれない。
登場人物にはおそらくモデルがいるのだろう。
これもほとんど分からないので残念だ。
特に麻生野桜麻は誰だったのかが知りたい。
しばらく時間をおいてから「個人的な体験」を読もうと思う。
あと「万延元年のフットボール」も読んでみたいのだが、まだ手に入れてない。
筒井康隆の「万延元年のラグビー」なら読んだことがあるのだが。
そういえば、筒井康隆の小説では、何度か声に出して笑ったことがあった
のだが、これは文学性の問題ではなく、単にレベルが私に合っていたと
いうことなのだろうか。