BSフジで「SHIROBAKO」の最終回を見た。
前回の、宮森がこらえきれずに泣く場面で、感情的な盛り上がりはピークを
迎えており、今回はゆっくりとクールダウンして大団円を迎えた、という
印象だ。
(クールダウンといっても激しいカーチェイスはあったのだが)
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「SHIROBAKO」は、アニメでアニメを語るという自己言及型の珍しい話だった。
ややもすれば実験的な作品と受け取られかねないが、きちんとエンター
テイメントの基本をおさえており、最後まで飽きさせなかった。
むしろ王道と言ってもいいかもしれない。
自分がやっていることをメタ的に表現することは、おそらくあらゆる
ジャンルの成熟期に行われることなのだろう。
小説の小説、映画の映画、マンガのマンガ、長く続いたジャンルには
必ずそういう作品が現れる。
エンタメ系で、私たちがやっているのはこういうことですよ、とお客さんに
告げるのは、表現者が大人になったからかもしれない。
いや、エンタメ系は売れてナンボだから、表現者と受け手の両方が大人に
なったから、という方が正確かも。
「SHIROBAKO」を楽しめた視聴者が思いのほか多かったのは、そういう
ことではなかろうか。
日本の深夜アニメは、ここまで来ました、と世の中に宣言できる作品では
ないかと思うのであります。
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ただ、それを一般の人に知らしめる手段があまりにも少ない。
きちんとした賞を作ってほしいのだが、そういう話はかなり生臭くなって
しまうだろうから、たぶん不可能かもしれぬ。
米国のアカデミー賞のように、アニメを製作する人たちが投票するのが
望ましいけれど、そのような組織があるのかどうか。
本屋大賞のような、売り手が投票するのも、ちょっと難しそうだし、
普通の人の投票は荒らす人が出てくるからムリだろう。
クールジャパンを推進する経産省か、大手新聞社がバックアップして、
氷川竜介みたいな人が選ぶ、みたいな賞を創設してはどうかと思うが、
これも難航しそうだ。
賞がたくさんあるのはいいことだとは思わないけれど、小説や映画に
比べると、アニメはまだまだ日陰者だと思わざるをえない。