Boaz2015-03-29

BSフジで「SHIROBAKO」の最終回を見た。
前回の、宮森がこらえきれずに泣く場面で、感情的な盛り上がりはピークを
迎えており、今回はゆっくりとクールダウンして大団円を迎えた、という
印象だ。
(クールダウンといっても激しいカーチェイスはあったのだが)



SHIROBAKO」は、アニメでアニメを語るという自己言及型の珍しい話だった。
ややもすれば実験的な作品と受け取られかねないが、きちんとエンター
テイメントの基本をおさえており、最後まで飽きさせなかった。
むしろ王道と言ってもいいかもしれない。


自分がやっていることをメタ的に表現することは、おそらくあらゆる
ジャンルの成熟期に行われることなのだろう。
小説の小説、映画の映画、マンガのマンガ、長く続いたジャンルには
必ずそういう作品が現れる。


エンタメ系で、私たちがやっているのはこういうことですよ、とお客さんに
告げるのは、表現者が大人になったからかもしれない。


いや、エンタメ系は売れてナンボだから、表現者と受け手の両方が大人に
なったから、という方が正確かも。
SHIROBAKO」を楽しめた視聴者が思いのほか多かったのは、そういう
ことではなかろうか。


日本の深夜アニメは、ここまで来ました、と世の中に宣言できる作品では
ないかと思うのであります。



ただ、それを一般の人に知らしめる手段があまりにも少ない。


きちんとした賞を作ってほしいのだが、そういう話はかなり生臭くなって
しまうだろうから、たぶん不可能かもしれぬ。


米国のアカデミー賞のように、アニメを製作する人たちが投票するのが
望ましいけれど、そのような組織があるのかどうか。


本屋大賞のような、売り手が投票するのも、ちょっと難しそうだし、
普通の人の投票は荒らす人が出てくるからムリだろう。


クールジャパンを推進する経産省か、大手新聞社がバックアップして、
氷川竜介みたいな人が選ぶ、みたいな賞を創設してはどうかと思うが、
これも難航しそうだ。


賞がたくさんあるのはいいことだとは思わないけれど、小説や映画に
比べると、アニメはまだまだ日陰者だと思わざるをえない。