釣魚雑筆

釣魚雑筆 (岩波文庫)

釣魚雑筆 (岩波文庫)

以前、「ロシア文学の食卓」という本を読んだときに、この釣魚雑筆が
紹介されていたのでネット古書店で買ってみた。
本体より送料の方が高くついた。


釣りの技法や魚の生態について書いてある本で、19世紀のモスクワ近郊で
魚釣りを楽しむなら、うってつけだ。


現在、この本を読んで味わえるのは、かつてのロシアの自然の豊かさである。
春になって雪解け水で河が氾濫するときに、どこでどんな魚が釣れるのか、
夏はどこに魚が潜んでいるか、真冬の池ではどうやったら釣竿を使わずに
魚をとるか、などの話が素晴らしい筆致で描かれている。


後半のロシアの魚の生態は、図版もあって面白い。
ただ、海老蟹というのは日本でいうアメリカザリガニのことなのか、それ
ともまったく別の生き物なのか、これこそ図版で示してほしかった。


釣り好きな人にはもちろん、外国の自然に興味がある人にとってもお薦め
である。