- 作者: 岸本葉子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/04
- メディア: 文庫
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まあ、70代だったので歳相応の病気ではあるのだが、ずっと前に買って
いたのを引っ張りだして読んでみた。
やはり岸本葉子は真面目な人である。
がんの告知を受けてから、再発の不安を克服していく日常に戻るまで、
学級委員長のような生真面目さで対処している。
(入院生活で週ごとにテーマを決める人は、あんまりいないと思う)
文筆業で、著名人でもある彼女が、自分ががんになったことを2年間
秘密にしていたのはうなずけるのだが、プライベートでは父親以外に
誰かに喋っていたのだろうか?
たぶん、そういう人がいるとは思うのだが、行間を読まないでいると、
岸本葉子には親しい友達がいないのではないか、と思ってしまう。
友達に話してもどうなるものでもないが、私がもしがんになったら、
たぶん喋るだろう。それだけで気が楽になりそうだからだ。
母はがんではなかったが、母の母、母のきょうだい、母のきょうだいの子と、
母方の親戚の三世代のそれぞれにひとりづつ大腸がんがいることはいる。
( p 54)
とあることから、遺伝子性の大腸がんであることは、ほぼ間違いない。
彼女はそういう宿命的なことを嫌っているようだが、30代で検査を
受けていたらあるいは早期発見できたかもしれない。
アンジェリーナ・ジョリーが遺伝子性乳がんの予防のため、乳房切除
手術を行ったことを明かしてニュースになった。
これを聞いて岸本葉子がどう思ったのか読んでみたい。