天地明察

原作は読んでおらず、ほとんど予備知識のないまま見た。
面白かったが、ちょっと長い。あと10分ぐらい短くできなかった
だろうか。


観客は平日のレイトショーなので私を含めて5人。
いい映画なので、もっと見てほしい。


岡田准一は、最初に現れたとき、和服似合ってねー、と思った
けれど、見ているうちに慣れた。総髪のヅラが大きかったから
ではなかろうか。


全国を歩いて北極星の緯度を観測するプロジェクトに選ばれ、
みんなで旅をするところは、笹野高史岸部一徳の芸達者ぶりに
助けられて楽しく見られた。


難を言えば、熱田とか大間の場所をテロップで処理せずに、日本
地図に重ねあわせて分かりやすく見せてほしかった。
そうでないと、どれだけの距離を歩いたのか、そのすごさが伝わ
らないと思う。


関孝和を演じた市川猿之助(前は市川亀治郎だったと思う)は
本当にあんなエキセントリックな人だったのか分からないが、
いい味を出していた。
ただ、いかにすごい数学者だったかは、あまり伝わってこない。
ナレーションで補足すべきではなかったか。
(独自に積分法を発見していたとか)


あとはなんといっても宮崎あおいである。
清純派の鑑のような演技だった。時代小説のヒロインとして満点
だったと思う(現実にあんな女はいないのが哀しい)。
しかし、最後に京都まで駆けつけるのはどうなのだろう。
あれは史実と違うような気がするのだが……


いろいろ難癖をつけてしまったが、総合的には良い作品だったと
思う。
松竹製作だからか、松本幸四郎など歌舞伎役者が出演しており、
豪華だった。


きっとどの時代にも、ナチュラルボーンに理系な人はいて、その
天才が勝手に自然科学を追求していくのだろう。
これは教育でどうこうできるものではなく、逆になるべく邪魔を
しないでおくのが肝要である。


岡田准一が演じる安井算哲も、人に恵まれ学問的な自由を得て
いたからこそ、あれだけの大事業ができたのだろう。
いまの日本の教育環境には、そのような余裕がなさそうに見える。