
美人コンテスト百年史―芸妓の時代から美少女まで (朝日文芸文庫)
- 作者: 井上章一
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 1997/04
- メディア: 文庫
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明治時代から現代までのミス・コンテストの歴史をながめながら、
「性の商品化」というクレームを、ゆっくりとほぐしている。
とはいえ、2012年現在、日本ではミス・コンテストはあまり人気の
ある催しとはいえない。
せいぜい、知花くららの名前ぐらいしか出てこない。
その理由は、文庫版あとがきによれば、
1.女性団体の反対運動のため
2.景気低迷のためスポンサーがつかなくなったため
3.美人が社会に拡散していったため
とある。
3については、よくネットで「美人すぎる◯◯」などと評判になる
やつであろう。もはやわざわざコンテストを開かなくても、自分の
主観でいくらでも美人を選べる時代になったということか。
さらに、日本人の場合はティーンエイジの少女を特別視する価値観
が一般化したことや、二次元などの萌えが広く普及したことも理由
のひとつになるのかもしれない。
井上章一は最後に、男が女を品定めすることで始まったミス・コン
テストは、女が女を品定めする方向へ変わっていくだろう、と予言
している。
これは東京ガールズコレクションの盛り上がりで証明されたと言え
るだろう。美人というよりもカワイイを重視しているが、まさに女
が女を見てキャーキャー騒いでいる。
グラマラスな美女よりも、可愛いモデルに人気が集まる日本は、美
人の価値基準の変遷の最先端にいるのではなかろうか。
ちなみに本書によると作家の丹羽文雄はミス・コンテストの審査員
の常連だったらしい。
その孫の丹羽多聞アンドリウがBS-TBSでアイドル主演のドラマを
数多く企画しているのをみると、血は争えないな、と思う。