*[本]日本史のミカタ

日本史のミカタ (祥伝社新書)

日本史のミカタ (祥伝社新書)

井上章一本郷和人が対談形式で日本史を語っている。
プロとプロの対談なので、話についていけないところがあったが面白かった。
できれば将棋の大盤解説みたいに、呉座勇一にこの対談の解説をしてほしい
ところだ。


対談の通奏低音として、天皇制はなぜ途切れなかったのか、というテーマを
扱っており、井上章一のアクロバティックな説に本郷和人が翻弄されている
ように見える。


私が面白かったのは井上章一

ロンドンにいた時、BBCのバラエティ番組で「ミスター・ビーンMr.Bean)」を
観たことがあります。ミスター・ビーンが部屋の改装をするため、電動ノコで
壁を切っていくんです。隣の部屋にエリザベス女王の写真があり、電動ノコが
ちょうど女王の首のところまで来る。そこで、笑いの効果音が入る。「ギリ
ギリのところで止まるのかな」と思って見ていたら、そのまま切り落として
爆笑となった。その時、自分自身の反応に驚いたのですが、「こんなことを
やってええのか」と思ってしまったのです。天皇制を絶対視しないはずの
自分に尊王精神があったんやと、気がついた。(p245)

と語っているところだった。


私も「モンティ・パイソン」の英国王室ネタで同じようなことを思ったことが
あって、英国と日本では笑いの質が違うのだろうか、と疑問に感じたけれど、
それは自分の尊王精神のことだったのだ、と気がついた。


ネトウヨにこそ読んでほしい一冊である。