北の国から

BSフジで再放送していた「北の国から」を見終わった。
1981年に制作された全24話のファーストシリーズである。


高度成長期が終わり、いよいよ日本が豊かになってバブルに突入
する前の時代に、敢えて北海道の僻地に暮らす親子を描いたドラ
マは、反時代的だと言えよう。


しかし、妻が浮気したからといって二人の子供を連れて、水道も
電気もない家に住み始めるのは、とんでもない話である。
自然と共生する暮らしを身につけられたとしても、後に描かれた
二人の子供たちは幸せになっていたとも思えない。


特に純は、あのまま東京に残っていたら私立中学に進学し、たぶ
ん廃品回収業者にはならなかっただろう。
ただ、彼は女運だけが異常に良くて、その意味ではずっと幸せだ
ったのかもしれない。


話をファーストシリーズに戻すと、映像に記録されている東京の
街並みが興味深かった。
きっと、あのような景色はもう失われているだろう。


子供たちの部屋にあるものや、自転車やおもちゃなども懐かしかっ
た。純は東京のおみやげにガンダムのプラモデルを買ってもらっ
ている。それから、こっそりビニール本を持ち帰ってもいる。


一方、北海道はというと、現在ではすっかり観光地になってしま
い、やはりドラマ撮影当時の面影はないのかもしれない。


私は北海道民の当時の反応が知りたい。
自分の住んでいる場所が東京で作られるドラマの舞台になるという
のは、うれしくもあるが恥ずかしくもある。


そして、言葉遣いやロケ地と移動距離の整合性のような、細かいこ
とのアラを探したりする。


道民は、正直なところ「北の国から」をどう感じていたのか。
あれで北海道のことを分かったような気になられたら困ると思って
いるのか、ひとつのイメージを作ってくれてありがたいと思ってい
るのか。
(松山の人の、夏目漱石の「坊ちゃん」に対する思いと重なるような
気がするのである)


昨日の「坂の上の雲」を見ていたら、秋山兄弟の母役で竹下景子が、
正岡律の母役で原田美枝子が出演していた。
北の国から」では、それぞれ純の叔母と分校の先生を演じていた。
30年の歳月を感じた。