- 作者: 山口謠司
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/02/01
- メディア: 新書
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のだそうだ。
文献の上で「ン」という文字が使われた最古の例は、現在のところ
康平元(1058)年に書かれた『法華経』だと言われている。(本文p99)
そして、「ん」の発音には少なくとも3つの種類があり、万葉仮名
ではそれらを分けて表記していたとのこと。
(ただし、まだ「ン」の文字は発明されていないから、「ニ」とか
「ム」で代用していたらしい)
録音装置がない時代の発音を推理するのは、非常にスリリングで面
白かったが、確認できないのが残念だ。
それにしても、発音した音声を表記する、というのは人類の特殊な
癖なのだろうか?
なかには文字のない文明もあっただろうけど、たいていは何らかの
文字で記録している。
それが不思議だ。
通読して思ったのは、日本語における「ん」の役割は、数学のゼロと
同じなのかもしれない、ということでした。