空母オリスカニのフィクション

日曜日にあったNHKスペシャルで、米軍第七艦隊の空母オリスカニが横須賀
に寄航したとき、艦内に核兵器を搭載していた、というドキュメンタリー
があった。


日本は被爆国なので、核兵器を持たず・作らず・持ち込まさず、という取り
決めがあったのだが、最後の持ち込まさずは有名無実になっていた。


現実的に考えれば、米軍の空母が核兵器を持たずにいる方がおかしい
わけで、このようなフィクションを信じなければならなかった日本のメン
タリティには、可憐ささえ感じる。


ここで、話をアイドルに落としこむと、日本ではいまだに「アイドルは処女」
というフィクションが共有されている。
女性アイドルは、男を持たず・作らず・持ち込まさず、という三原則が暗黙
の了解事項になっており、これが裏切られると激しいバッシングを浴びる。


自分で書いていても「持ち込まさず」とは何のことだかよく分からないが、
ここでは特定の恋人がいなくてもセックスする、というふうに解釈したい。


現実にはむずかしいことでも、フィクションが共有される社会は、ある意味
特殊だと思うけれど、これは日本だけの現象なのだろうか? 


例えば、米国だって、大統領選挙の候補者は、完全無欠の人間が求められて
いる。だからこそ、ネガティブ・キャンペーンが横行するわけで、おそらく
どんな国でも、何らかのフィクションがあるのだろう。


アイドル文化は日本が世界最先端をいっているが、東アジアでもこのフィク
ションは浸透している。
ここから何らかの文化人類学的な知見が導き出せるような気もするが、私の
貧弱な頭では、よく分からない。
誰か考えてくれないだろうか。