ラブホテル進化論

ラブホテル進化論 (文春新書)

ラブホテル進化論 (文春新書)

帯を見ると分かると思うが、単なるおじさん受けの新書である。
内容はきちんとしているのだが、別に大学院生が研究したとも思えず、これ
なら風俗ライターが書いても同じようなものになるのでは、と。


この本の冒頭でも書かれているとおり、これを読むなら井上章一の「愛の空
間」を読んだ方が何倍も面白い。


ラブホテルが情報誌に載ってカジュアルなものになったのは、本書によると
1995年の「ぴあ関西版」からだそうだ。さすが大阪。
それでも、まだ13年しか経っていないのか、と思うと、いかにラブホテルが
日陰の存在だったかが分かる。


四国にも、ラブホテルの情報ムック「ホテルん とまるん」というのがあった
はずで、本屋で見かけたことがあるが、売れ行きは知らない。
きっと私が疎いだけで、四国の若者たちは大いに利用しているのだろう。


地方だと、ディズニーランドがあるわけでもなし、男女がデートするとなれ
ばラブホテルに行くぐらいしかない。
うちの近所にも何件かラブホテルがあるけれど、中がどうなっているのかは
知る由もない。


そもそも、私はラブホテルに最後に行ったのは、10年以上前である。
なので、進化とか言われても、別の惑星の話をされているようで、ああそう
ですか、と肯くしかない。


私としては、先日発生した個室ビデオとラブホテル事情をリンクさせてみた
い。
つまり、日本でこのような施設が発達するということは、いかに住宅事情が
貧困か、ということの証左ではあるまいか。


ゆったりとくつろげる空間が、いかに日常から排除されているか、というの
は、建築学的におおいに議論されるべきだと思う。
単に広さの問題ではなく、安普請が多い、ということではなかろうか。