- 作者:井上 章一
- 発売日: 2020/04/13
- メディア: 新書
個人的にはべつに京都の人にひどいことをされたわけではないのだが、
いいぞ、もっと京都人を悪口を言ってくれ、と思ってしまう。
私のこの「京都ぎらい」は何なのだろう?
本書によると、京都至上主義の人が本当の京都人と認めるのは、
祇園祭を仕切る町衆らしい。
その居住地の範囲は、東西は寺町通から烏丸通の間、南北は御池通から
五条通の間であるという。北限を丸太町通とする人もいる。
ともかく、それ以外の住民は京都人ではないらしい。
観光客や学生でいるうちは愛想よくしてくれるが、居住して仕事を
するとなると、自分の代では絶対に仲間内として認めてくれない、
というのは聞いたことがある。
私が気になったのは、洛中に嫁入りする女性のことである。
京都至上主義者たちの結婚事情はどうなっているのだろうか。
今でも家同士が決めているのか、恋愛結婚も認められているのか。
洛外から家庭に入った人は、それはもういじめ抜かれていたに
違いない。自殺したり逃げ出した人も多かろう。
いじめに耐え抜いて姑になった人が、嫁に来た人をいじめる、
というのもよくある話だろう。
いまの時代、わざわざそういう老舗に嫁入りする人はどのくらい
いるのだろうか。
余計なお世話だが、どんどん減っているような気がする。
すると100年ぐらいしたら、跡継ぎができず、暖簾を守れなくなる
ところも多くなるのではなかろうか。