阿久悠物語

後半の森昌子が出てきたあたりからしか見ていないので、ちゃんとした感想は
書けないのだが、70年代の懐かしい映像が出てきて面白かった。


主演の田辺誠一は、意外に阿久悠のテイストをうまく出しており、ちょっと格
好よすぎたけれど好演していたと思う。
その周りにいるスタッフはいまひとつだったけれど。


私はハロプロ好きなので、興味は桜田淳子を演じた鈴木愛理と、ピンクレディー
を演じた高橋愛新垣里沙に集中した。
ファンのひいき目を抜きにしても、けっこうよかったんじゃないかと思う。
演技はまあ下手だったけれど、アイドルの役をやるアイドルとしてはうまくこ
なせていたのではないか。
(個人的にはピンクレディーは愛ちゃん・ガキさんよりも、℃-uteの矢島・梅田
の方がスタイル的にぴったりだったのではないかと思うけれど)


以前にも、渡辺プロダクション渡辺晋の伝記をドラマにしていたことがあった。
テレビがこのような歌謡曲黄金期の物語を製作するのは、すでにテレビの黄昏を
予感させるものがある。
もはやテレビ局には、このような時代を作るパワーは失われつつあるのかもしれ
ない。


ただ、どちらのドラマにも広告代理店の影響は巧妙に薄められていた。
山口百恵のヒット曲はコマーシャルのタイアップなしではありえなかったろうし、
松田聖子が登場する80年代以降は、アイドルの演出は広告代理店なしには成立し
なかっただろう。


阿久悠はそのあたりにどこまで介入していたのか分からないけれど、作詞活動が
下火になっていったのは、テレビ局から広告代理店にイニシアチブが移っていく
時期と重なっていたのかもしれない。


ちなみに、私が応援するモーニング娘。も、初期は電通主導の「ASAYAN」でブレ
イクしたが、現在は見事に広告から外されている。
では、広告代理店は現在どんなアイドルを作っているのかといえば、若手女優と
呼ばれる人たちだろう。
資生堂の“TSUBAKI”のCMに出てくる人たち、といえば分かりやすいだろうか)


もちろんそれだけではないだろうが、たいていの人が知っている若くて可愛い女
の子は、アイドルではなくなってしまった感がある。
松浦亜弥以降、そういう人は登場しただろうか? 


だから、ハロプロにはがんばってほしいし、もっとたくさんの人に良さを分かっ
てほしいと思う。
いまのモーニング娘。Berryz工房℃-uteは面白いはずだが、一般の人はほと
んど知らないのがもったいない。


その意味でも、今回のキャスティングでハロプロのアイドルが抜擢されたことは
素直に喜びたいのである。




どうでもいいことだが、最後に出てきた看護婦の前田愛を、しばらく堀北真希
勘違いしていた。申し訳ない。