代行運転

代行運転とは、地方などでクルマ通勤の人が帰りに酒を飲んだとき、自分のクルマを代わりに
運転してもらって家まで送り届けてもらうサービスのことである。
代わりに運転する人は、帰りのクルマがないと戻れないので、必ずもう一台のクルマが追走す
ることになる。


これは同僚から聞いた話だが、お客さんのクルマを運転して送り届けるときは、比較的安全に
運転をするが、戻るときはとんでもなく危険な運転をする人が多いらしい。


というのも、戻る時間を短縮できれば、もう一本よけいに客を拾えるからだそうだ。
代行運転は歩合制のところが多いのだろう。


なので、アクセルをベタ踏みして平気でカーブを曲がる、「頭文字D」のような世界が本当に
あるのだとか。助手席に乗っている人は生きた心地がしないだろう。


私はそんな運転をするぐらいだったら命の方を選ぶのだが、彼らはそのスリルがたまらないの
だろう。田舎にありがちなメンタリティだ。
いや、首都高をぐるぐる走る人もいるから、田舎だけではないか。


ともかく、このようなスピードを普通の人が体験できるようになったのは、ほんの40年ぐらい
前からであろう。
若者がオートバイやスポーツカーを気軽に買うことができるようになって初めて、スピードに
よるスリルが一般化したわけだ。


人類の多くが、これほどスピードを体感した時代は、今後やってこないのではないかと思う。
それによって、人間の考え方や社会がどのくらいダイレクトに影響を受けたのかは、たぶん誰
かが調べているだろう。



しかし、最近はクルマ自体が若者からそっぽを向かれつつある。
モテるためのアイテムではなくなったことが最大の要因だろう。
クルマがなくても、女とつきあえるようになったのだから、女心が自動車メーカーに与えた影
響は計り知れないものがある。


とはいえ、いつの時代にもスピードのスリルを求める若者は一定数いるから、そういう人たち
は何があってもクルマを買うだろう。
メーカーも、細々ながらもスポーツカーを出していくはずだし、あと1世代ぐらいはスピード
の快感を味わえることができるかもしれない。