面白くないことを言う人

前から思っていたのだが、面白くないことを言う人は、自分の言ったことがどのくらい人に
受けているのかがよく分かっていないのではなかろうか。


というのも、自分では面白いと思っているらしい話を、何度も何度も言ってくるからだ。
これが友だちとか親しい人だったら、すぐにそれを伝えられるのだが、上司とか同僚とか、
あまり突っ込めない人だと、その都度あいまいな顔をして反応しなければならない。


これが実はけっこうストレスのたまることで、「もう何回も聞いたわい!」と怒鳴りたくな
る。


芸人の「すべらない話」のように、何度聞いても笑えるものもあるが、それはあくまでもプ
ロが演出している話芸であり、素人がそんなネタをいくつも持っているわけではなかろう。
それに、芸人は自分の話が受けたかスベッたかを、実に敏感に判断しているはずだ。
(それに気がつけないようなら、芸人である資格はないと思う)


こういうことは、空気を読むという分野に入るのだろうか。


笑いは、話し手と聞き手が少なくなるほど密度が濃くなるものだ。
なぜかというと、話し手がいちいち背景や人物を説明しなくても、聞き手に同じ画が浮かぶ
からだ。
仲間だけの笑い話が腹を抱えるほど面白いのに、第三者が聞いてもそれほど面白くないのは
ぼんやりとしか画が浮かばないせいである。


例えば、学校の先生のモノマネは、同じクラスの人だったら馬鹿受けだろうが、その先生を
全く知らない人にとっては、何が面白いのかよく分からないだろう。
かといって、その先生のことを一から説明したのでは、面白さは半減してしまう。


優れた芸人のすごいところは、観客に全く接点のない人物の話題でも、たちまち設定を理解
させて、自分のフィールドに持ち込むところである。
ここ10年ぐらい、あるあるネタでつかみをとる芸人が多いのは、早く自分と観客の空気を同
化させる方法が一般的になったからだろう。


まあ、芸人でもない人が、そんなことを追求しなくてもいいのだが、なるべくなら自分の話
を客観的に判断してほしいなぁ、と思う。


ふと思ったのだが、水商売の女(とくにキャバクラ嬢)は、仕事でオッサンの話をずっと聞
かされているはずだ。
そして、常連客の中には、つまらない話を何度も何度も繰り返す奴もいるだろう。


これは想像以上に疲れると思う。
そんな中に、芸人のように面白い話を連発できる客がいれば、それはモテモテになるだろう。
なんで金を払ってまで面白い話をしなければならないかは疑問だが、もしキャバクラでモテ
たければ、彼女たちを爆笑させるネタの一つも持っていなければならないと思う。


結局、口ベタな男はモテない、ということか。
なんかムカつく結論になってしまった。