東野圭吾の原作を読んだのは、7〜8年ぐらい前だったか。
ひとりの探偵役が活躍する短篇連作は、そのままテレビドラマに使えそうだった。
というか、連続テレビドラマ用に作ったように思えた。
当時、私は湯川を阿部寛が演じたらいいんじゃないかと思っていたが、今回の福山雅治というキャスティ
ングも悪くない。あるいは早稲田の理工学部卒という経歴を持つ藤木直人でもよかったんじゃないか。
(余計なお世話だが、藤木は歌を出している場合ではなく、いいドラマに出演するべきだろう)
原作の内容はほとんど忘れてしまったが、テレビドラマを見ると、うまく脚色しているのではないかと
思う。柴咲コウの上司役の品川が意外といい演技をしていた。ああいう視聴者から嫌われそうな役を演じ
させると上手い。
ところで、この話は理系の知識を持つ人が、持っていない人より優位に立って話を進めている。
だが、ドラマの視点は文系のもので、理系というのはわけのわからない数式を書く人だ、という偏見が
ある。
たとえば、レーザー光線の謎を解明するとき、福山がいきなり地面にチョークで何かの数式を書きなぐ
るシーンがあるが、あれはかなり古典的な「理系の変人」の表現だ。
私も、ああいう数式は全く理解できないのだが、理系の人は別に人を驚かせるために数式を展開している
わけではなく、単に問題を整理するためにやっているのだ。
それは文系が文章を書いたり消したりする行為と同じである。
なので、ひと昔前ならともなく、これだけ身の回りにコンピューターのツールがあるのだから、PDAとか
スマートフォンを小道具に使わせてもよかったんじゃないかと思う。
もしかしたらこのドラマをきっかけに爆発的に普及したかもしれないのに、携帯電話会社は何をしていた
んだろう?
また、福山は女子学生にモテモテだが、恋人はいない、という設定だ。
理系はあまり女に興味がない、というのも偏見だろう。
世間が長年かけて形作ってきた「理系」というキャラクターは、どうもあまり格好いいものではない。
それを打破するために、敢えて福山というイケメンを選んだはずだ。
「電車男」ではオタクが脚光を浴びたが、今度は理系が同じように興味を持たれるのかもしれない。
合コンで、「ガリレオ」を見た若い女性が、理系の男性に解説をねだるとか。
理系で非モテな人は、とりあえず「ガリレオ」を見て予習をしておいた方がいいかも。
責任はとれないけど。