容疑者Xの献身

ドラマ「ガリレオΦ」を見終わってから、オールナイト上映に出かけた。
ちなみにドラマの方は、なんで長澤まさみが出演しているのかが謎だった。


映画はネタバレするのでたたみます。




原作を読んでから見ると、やはりキャスティングがおかしいのではないか、と
思う。
石神役の堤真一は熱演しており、これはこれでよかったのだけれど、物語の核
になっているのは、モテない男の哀しみなので、どう見てもイケメンな堤真一
では無理があるのだ。


イメージとしては、伊集院光とか田口浩正のようなデブじゃないといけないけ
れど、このようなビッグ・バジェットの作品だと、さすがにもっと上のクラス
の役者でないといけなかったのだろう。


だったら、香川照之を石神役にしたらどうだったのか、とも思う。
気持ち悪い雰囲気を出せて、しかも大作に出演してもおかしくないというと、
彼ぐらいではなかろうか。堤真一が悪いわけではないのだが。


それから、工藤役のダンカンも違和感があった。
確かに錦糸町のクラブに通いつめそうな人ではあるが、松雪泰子がクラッとく
るようなタイプには見えない。
例えば、羽場裕一みたいな方がよかったのではないか。


もうひとつ、雪山の場面は必要だったのかどうか。
原作にはないし、特に重要だとも思えない。
監督の自己満足だったのではないか。あるいは、映画だから派手な場面を入れ
なければ盛り上がらないと考えたからかもしれない。


細かいことだが、松雪泰子弁当屋も、原作では単なる従業員だが、映画では
自分で経営していることになっている。
これもなぜそうしたのかが分からない。弁当屋のおばちゃんとの会話は重要な
心理描写があったのだけれど。


このように、原作との違いを並べていくと、この映画があまり面白くないよう
な感じに思われるかもしれないが、スペシャルドラマよりはよかったと思う。
警察の捜査会議なんかは、フジテレビのお家芸のようになっているし、2時間を
飽きさせないような構成だった。


テレビドラマから「ガリレオ」を好きになった人は、映画を見ても十分に楽し
めるでしょう。