官能小説の奥義

官能小説の奥義 (集英社新書)

官能小説の奥義 (集英社新書)

なかなか大げさなタイトルだが、中味はそうでもなかった。
とはいえ、官能小説をこれほど読んでいる人も珍しいと思う。
いくら仕事だからといっても、普通は26年で1200冊も読まないだろう。
私は数えたことはないが、たぶん20年で250冊ぐらいだろうか。


恐らくこの新書は、おなじ著者の「官能小説用語表現辞典」の余禄だろう。

官能小説用語表現辞典 (ちくま文庫)

官能小説用語表現辞典 (ちくま文庫)

内容の半分ぐらいが官能小説からの引用で、男性器・女性器の表現やフェティシズムの分類に割かれて
いる。
残りの半分は、どのような設定で、どんな物語が展開されているか、という分析である。


普通の小説と違って、官能小説は読者を興奮させるために書かれているから、あまり自由度はないと思
われがちだが、実はその反対で、エロ描写さえきちんと書かれていれば、わりととんでもない話だって
書けるのだ。


そのあたりは、エロマンガやポルノ映画と同じで、すぐれた表現をする書き手が活躍することのできる
場だと考えられる。
たとえば、胡桃沢耕史は官能小説家から直木賞作家になったし、逆に宇能鴻一郎芥川賞をとった後に
官能小説家になった。
まあ、現在のフランス書院文庫などからは、そういう人は出てないようだけど。


私が読んだ官能小説のなかで面白かったのは、館淳一の初期作品で「養女」「継母・背徳の部屋」だろ
うか。ちょっとしたミステリ仕立てになっており、最後まで読ませる。
綺羅光の「女教師・二十三歳」もすごくよかった。最近、この続編「新妻・陵辱の標的」を発見して読
んでみたが、それほど面白くはなかった。


また、麻耶十郎の「女子高生 あぶない体操着」はオリンピックのドーピングにからむ国際組織が暗躍
しており、タイトルからは全く想像もつかないストーリーで楽しめた。
いずれも20年ぐらい前に出たものが、現在は入手困難かもしれない。


最近だと、田沼淳一が最もいいと思う。
(そういえば、館淳一と名前が似ているなぁ)
フランス書院文庫デビュー作の「性獣家庭教師 狂わされた母と息子」には度肝を抜かれたが、最新作
「淫獣の群れ 実母と姉弟」はエロ描写における金字塔を打ち立てたのではなかろうか。


とはいえ、官能小説は個人の好みが激しく分かれるので、私が面白いと思ったものが他人に伝わるとは
思わない。
やはり自分で読んで確かめるべきだろう。


‥‥つい熱く語ってしまったが、自分の性癖を告白しているようで、すごく恥ずかしい。
書いてから後悔している。


本文と写真はまったく関係ありません

从*・ 。.・)<こんなの読むんですかぁ?