国立ロシア美術館展

半年ぐらい前に東京でもやっていたらしい、国立ロシア美術館展が松山にも来たので行ってみた。
こうして日本全国を巡業して、ロシアに戻るのはいつになるのだろうか。


私はロシア美術を全く知らなかったので、勉強になった。
展示されていたのは、18世紀後半から20世紀初頭にかけての絵画と彫刻だった。メインはイリヤ
レーピンが描いた肖像画や、イヴァン・アイヴァゾフスキーが描いた海の絵などで、ロシア革命
の文化が保存されているだけでも感動する。


19世紀後半から20世紀初頭にかけては、ロシアが激動した時代だったが、絵画に関してはきちんと
しているというか、技法的な冒険がなく、すごく分かりやすい。
その当時のロシア音楽もそうだが、妙に屈折したところがなく、直球ど真ん中の表現をしているよ
うに思えた。


では、つまらないかというと全くそんなことはなく、むしろ清々しい印象さえある。
画家たちはフランスやイタリアに修行に行き、そこでの影響を受けまくって故国に戻ってきている
のだが、絵のモチーフが貧困な農奴だったりするので、非常にロシア的な絵画になっているのだ。


その一方で、貴族や皇帝の肖像画も多く描かれており、写真では出せない味があった。
特にエカテリーナ二世の絵は、なるほどこんなおばさんだったのか、と顔を見ただけで性格まで分
かるようなリアルさがあり、面白かった。


展示してある絵で一番よかったのは、ニコライ・ゲーの『オリガ・コスティチェワの肖像』だった。

モデルの優しそうな、少し神経質そうな表情がとてもいい。
他の貴族の娘たちの肖像画もよかったが、どうも老け顔に見えてしまう。むしろ、貴族ではない娘
の絵の方が生き生きしていたように思った。


愛媛県美術館では、この他にも常設展で眞鍋博の自転車のイラストを紹介しており、まったく人が
いなかったが充実した内容だった。


どうでもいいことだが、この国立ロシア美術館展の前売り券を明屋書店で求めたところ、もう展示
が始まっているから売れない、と断られた。
その足で紀伊国屋書店に行ったらあっさり売ってくれた。
明屋書店の判断は正しいかもしれないが、本を買うなら紀伊国屋にしようと思った。