クワス

先週の「探偵!ナイトスクープ」を見ていたら、ロシアのクワスという飲み物をもう一度飲みたい、
という依頼があった。
なんでも、大阪万博のときに口にして以来、その独特の味が忘れられなかったが、日本では手に入
らず困っている、ということだった。
そこで、わざわざ金沢まで行き、ロシアの貨物船に乗り込んで、船長室の冷蔵庫にあるペットボト
ルのクワスを飲ませてもらっていた。


私がクワスという飲み物を知ったのは、たしかトルストイの小説だったと思うが、夏の暑いときに
農民が旨そうに飲んでいたという描写があったような気がする。


ロシアの小説には他にも謎の食べ物があって、ウハーという潮汁みたいなものとか、パン汁という
酸っぱい飲み物が登場する。
たぶん死ぬまで口にすることはないと思うけど。


クワスは黒パンとイーストを発酵させて作るものだそうで、初めて飲んだらまずいけれど、二度三
度と飲んでいくうちに慣れてくるらしい。
ラーメンでいうと天下一品のようなものか。


味は保守的なものだから、たいていの人は違う文化圏の味を拒絶するものである。
欧米の人は日本の味噌汁やアンコが嫌いらしいし、日本人でも納豆の好き嫌いは分かれる。
あんなに旨いタマゴかけご飯も、気持ち悪い人にとっては絶対に食べられないだろう。


だから、ほぼ世界中の人に受け入れられているコーラという飲み物は、なかなか偉大な発明だと思
う。日本に最初に輸入されたときは、薬みたいな味がすると全く人気がなかったそうだが、戦後は
むしろ米国の味ということで普及したみたいだ。
ロシアでもクワスの人気は全くなく、コーラが好まれているらしい。


まてよ、そうするとコーラはその味が受け入れられたというよりも、米国の文化に憧れて広まった
ということだろうか。
もし旧ソ連が冷戦に勝利し、ロシア文化が世界中から憧れの的になったとしたら、クワスは世界的
飲料として君臨したかもしれない。


コーヒーや紅茶も、当時の最先端の文化を持っていた国の飲み物だから世界中に普及した、という
説を読んだことがある。
最近だとポカリスエットなどのスポーツ飲料だろうか。あれも、もともとは米国で開発されたものだ
し、初めて飲んだときはまずいと思ったものだが、慣れると平気になった。


そこで、世界のオタク文化をリードする日本も、何か飲み物を普及させてみたらどうだろうか。
とりあえず、緑茶は有力な候補だと思う。
ひと昔前は、お茶なんて家で飲むもので、わざわざ自販機で買うものではなかった。
それが今や、各飲料メーカーがしのぎをけずって開発している。
健康にもいいダイエット飲料だと米国あたりに売り込めば、割とヒットするのではなかろうか。


第二候補はカルピスウォーターかな。
コーラを米国の飲み物として拒否しているイスラム圏の人々に、カルピスソーダを紹介すれば、少
しは日本の株も上がるかも。


本文と写真はまったく関係ありません

从釻v釻)<いろんな意味でオトナの味がします