ぐるぐる考えてみたが、村上春樹の価値観はマガジンハウス的なものであり、
それに合わない人は彼を批判するのではなかろうか。
というのも、「1Q84」に出てくる固有名詞は、たいていファッション関係の
ものか音楽関係のものであり、まるでマガジンハウスの雑誌を読んでいる
ようなのだ。
その一方で、自然のものは抽象的な言葉を使っている。
老婦人の温室にいる蝶は沖縄でしか生息できないものとあったが、その名前は
書かれていない。
ヘックラー&コッホという拳銃の名前を何度も出すんだったら、リュウキュウ
ウラボシシジミという名前だって出してもよさそうなものだ。
ついでに言えば、温室の蘭やバラの名前も書いていない。
詳しい名前を書く必然性が感じられなかったのだろう。
私はそういう描写の偏りが気に入らないから、読んでいてイラッとするのだ。
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思うに、村上春樹の作品はコーラのようなものではないだろうか。
コーラという飲み物は、のどが渇いているときに飲むととてもおいしいし、
世界で最も広く販売されている。
だが、それをドン・ペリニヨンの瓶に入れて売ったら文句が出るだろう。
(ドン・ペリニヨンも十分俗っぽい酒だが)
そして村上春樹自身は、これはコーラですともドン・ペリニヨンですとも
言わずに、こういう飲み物を作ってみましたがどうですか、と提供している。
本当は自信満々かもしれないけれど。
問題は、周りの人間がコーラをせっせとドン・ペリニヨンの瓶に入れて売って
いることだろう。
そして愛読者はドン・ペリニヨンだと思って飲んでいる。
そこに不幸な食い違いが生まれているような気がする。
もし、村上春樹が別のペンネームで小説を書いて角川書店あたりから出版したら、
意識高い系ラノベとして評価されるかもしれない。
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最後に、映像化されるとしたらどんなキャスティングかを想像してみたので
書いておく。
中野あゆみ……大島優子
大塚環……宮崎あおい
安田恭子……佐藤江梨子
牛河……バナナマン日村
こんな感じで、テレビ朝日でドラマ化すればいいんじゃないかと思う。