NHKスペシャル「長寿企業の秘密」を見た。
日本は世界でも長寿企業が多い国だそうで、古くは飛鳥時代からある宮大工の会社が紹介
されていた。
たしか、長寿企業について書いた新書があったはずだ。これか。
千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン (角川oneテーマ21)
- 作者: 野村進
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2006/11/09
- メディア: 新書
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日本の長寿企業は、明治時代に創業した100年以上の歴史があるものが多いらしい。
外国になぜ長寿企業が少ないのかは、番組でまったく解説されていなかった。
おそらく、アジアでは植民地化されたときに潰されたところもあったろうし、欧米では企業の転売
が盛んだったからだろう。
それでも、華僑資本の会社や、ロスチャイルド家の企業とかカーネギー財閥の企業なんかは昔から
ずっとあるはずで、日本だけが優れているというわけでもあるまい。
むしろ日本の長寿企業は、そのような大企業ではなく、イタリアなどの伝統工芸の工房に似ている
ような気がする。
企業の寿命を考えるとき、私は蝶理という会社を思い出す。
繊維専門の商社で、60〜70年代には憧れの会社だったのだそうだ。
ところが、バブル期に投資で失敗して大赤字になり潰れかけた。
今も東証一部に上場しているが、株価は200円ぐらいで、東レの子会社になっている。
なぜ、この会社のことを思い出すかというと、以前勤めていた会社で、蝶理の人から電話を受けた
ことがあったからだ。
90年代半ばごろで、私は蝶理という会社名を知らなかった。
そこで、どんな字を書くのか訊いたところ、お前はそんなことも知らないのか、という口調で叱ら
れてしまったのだ。
(ちなみに私が勤めていた会社は、繊維とは全く関係がない)
私の不勉強のせいだということは分かっているが、いまどのくらいの人が蝶理という会社のことを
知っているだろうか、と思った。
これを読んでいる方は、ご存知でしたか?
このように栄枯盛衰が激しい世の中で、100年以上も同じブランドで商売するのは立派なことだ。
ただ、そのほとんどは知る人ぞ知るという存在の企業なんだと思う。
老舗の暖簾を守るということは、あまり有名になりすぎてもいけないのだ。
私はそのことを、山本夏彦のエッセイで知った。
彼は「室内」という建築関係の雑誌を主宰していたが、その雑誌を本屋で見かけたことがなかった。
探せばあるのだが、平積みしてあって誰もが読んでいるようなタイプの雑誌ではない。
山本は、なぜ「室内」がこのように長期間継続できているかと訊かれ、ピークがないからだ、と答え
ていた。月にたとえて、満ちれば欠ける、欠ければ満ちる、絶頂期を迎えた企業は必ず衰退する、と
説いていた。
私が思うに、長期間、企業が存続する理由は、
1.圧倒的に優れた技術力があること
2.絶えずその技術力を磨いていること
3.やたらと商売の間口を広げないこと
にあるのではないか。
これは、もしかしたら芸能関係にも当てはまるかもしれない。
私が応援しているハロプロは、つんく♂ワークスの技術力、オーディションによる新人発掘、ライブ
による経験値の獲得はあるものの、一度ピークを迎えてしまったために、次のブレイクスルーがまだ
ないような気がする。
それを見つけることができればいいのだが、私も何をどうしていいかは分からない。
できるだけ長く続けてほしいのだが‥‥