ブラック企業ビジネス

ブラック企業ビジネス (朝日新書)

ブラック企業ビジネス (朝日新書)

文春新書「ブラック企業」の著者が、ブラック企業の経営者に取り入る
弁護士や社会保険労務士の実態を告発したものである。


私も不当解雇されたとき、地元の法テラスや有料の法律相談所に行った
が、けんもほろろの扱いをされ、何の頼りにもならなかった。
なので、弁護士どもは信用できないと思っているのだが、本書ではその
クズっぷりがこれでもかと描かれている。


なぜ難関の司法試験を突破して弁護士になったというのに、こんなこと
をするのか。
実は若手弁護士は仕事がほとんど回ってこないので、追い込まれてブラッ
ク弁護士事務所に入る人も多いのだそうだ。


米国では、法曹関係者は市場で淘汰されるから大丈夫だ、という言説が
あるが、日本では全く違う。
米国の司法制度を真似して、逆に社会が混乱しているのでは、と思う。


結局、弁護士に関しては情報が少なすぎて、誰がどんな訴訟を専門に
していて、どのくらいの料金がかかるのか、事務所に行ってみないと
分からない。口コミが頼りの世界である。


本書の最後の方にあるように、日本労働弁護団や過労死弁護団になら
安心して相談できるだろうけど、通常はその検索ワードが出てこない
だろう。


自分の身を守るためにも、ぜひ読んでおきたい一冊である。



この本の中に、ブラック企業の一例として、とある不動産会社が紹介
されていた。各営業店舗に集音機能付きの監視カメラが設置されて
いて、会長がモニターで常に見ていたそうだ。
で、19時に店を閉めようとすると「やる気がないのか」とすぐに電話が
かかってくるような職場だったという。


この不動産会社の会長は、金儲け以前に、他人を思い通りに支配したい
欲望が強すぎる、異常な人だったのだろう。
まともな人なら、たくさんの営業所を一日中監視することに耐えられない
と思う。私なら他人の仕事をずっと見続けても、数時間で飽きてしまう。


ブラック企業経営者のほとんどは、金儲けも好きだろうけど、それよりも
他人を支配することが大好きな異常人格者なのではないだろうか。


そういう人が起業して、自分だけの王国を作って従業員を苦しめている。
小さな北朝鮮が無数にあるような状態である。


独裁国家は糾弾されても、独裁会社は放置されている。
どうしてなのだろうか?