生徒諸君!2

第1回目を見て感想を書いたが、話が進むとどうしても気になる点ができたので、また書く。
ていうか、このドラマをずっと見ている人がどのくらいいるのか不安なのだが。


これまでの話を簡単にまとめると、

中学教師の内山理名が担任になったクラスは非常に問題があり、生徒たちは団結して担任を追い出
そうとしている。
何があったのか訊き出すと、1年生のとき担任だった教師が、クラス全員を連れて登山したとき道
に迷い、生徒の食料を奪って置き去りにした、という。


二日後に発見された生徒たちは無事に下山できたのだが、担任の教師がひどいことをしたと言って
も誰も信じず、事件はもみ消されてしまう。
調べると、その担任は文部科学省事務次官の息子らしい。


内山理名は元担任に会って、生徒に謝罪するように言うが、本人には自分がひどいことをしたとい
う自覚がない。問題が大きくなることを恐れた事務次官は、元担任を海外留学させた。
クラスの生徒に元担任を連れてくる、と言った内山理名は、約束が守れずに生徒たちの前で土下座
して謝る。

という話だ。


そりゃ、クラス全員が荒れるよなぁ、という事件である。
しかし、
・元担任はとてもいい教師に見える面と、自己中心的な面があり、なぜ登山のときに豹変したのか
 わからない。
・中学生ひとクラスが二日間行方不明になるという事件は、もみ消せるものなのか。
・生徒の言葉を信じた親が学校や元担任に対して訴訟を起こしていいはずだが‥‥
・大人を手玉に取ることができる生徒たちは、なぜ元担任に復讐しようとしないのか。
というような疑問点が出てくる。


なぜ矛盾した脚本にするのか? 
それは元担任を絶対的な悪にして、生徒たちを完全な被害者にするためである。


もし登山事件の後に、元担任教師が何らかのかたちで謝罪したり、訴訟で懲罰を受けていたら、生
徒もこれほどまで頑なにはならなかっただろう。
もっとも、そうなればこのドラマは成立しなくなるのだけれど。


私が見ていて、どうもスッキリしないのは、被害者なら何をしてもいいのか、という点だ。
山に置き去りにされた中学生たちが、直接の加害者である元担任を恨むのは正しい。
しかし、大人はみんな悪い奴だ、と考えるのは間違っている。
やる気まんまんで学校にやってきた内山理名を、階段から突き飛ばしたりするのは犯罪である。


私たちは、被害者・弱者であるという立場を利用して、直接の加害者・強者でない人に圧力をかける
人々がいることを知っている。
いちど被害者になった者は、永遠に加害者と同じ種類の人々を断罪してもかまわないのだ、と考える
人々がいることを知っている。


内山理名がやるべきことは、
1.訴訟を起こして元担任に謝罪させること
2.その後、生徒たちに元担任を赦すことを教えること
3.すべての大人が悪い人間ではないし、やがて生徒たちも大人になることを教えること
ではないだろうか。
少なくとも、彼女が生徒に土下座をしてはいけないと思う。


本文と写真はまったく関係ありません