拝啓、父上様

脚本家が偉いとテレビ局も本気になるんだなぁ、と思うドラマだった。
倉本聰が決めたのかどうだか知らないが、キャスティングにほとんどブレがない。
黒木メイサだけが疑問だが、あとは完璧である。


私は、このドラマの前提である「前略おふくろ様」を見ていないので何とも言えないのだが、それを全く
知らなくても楽しめる内容だと思う。


主演の二宮和也は、「硫黄島からの手紙」でも思ったが、職人顔をしている。
いわゆるスターのオーラがあるような華のある顔ではなく、平凡な市民を演じたらうまいタイプだ。
同じジャニーズ事務所草磲剛の路線である。
関ジャニ横山裕もよかった。彼にあてて台本を書いたのだろうか、頭の悪い若者の役がピッタリだった。


そういえば、数年前に倉本聰が書いたドラマ(「北の国から」?)では、携帯電話ばかりいじって喋ろうと
しない若者が登場し、しまいには携帯を川に放り投げられていたが、今回はみんなが当たり前のように
携帯を使っており、八千草薫までメールをするようになっている。


たぶん、実生活で倉本聰も携帯を使い始めたから、脚本にも便利な道具として描かれるようになったの
ではないか、と睨んでいる。ツールの評価がコロッと変わっているのが面白かった。


それにしても、主人公のモノローグは必ず入れなければならんのだろうか? 
あれがないと倉本聰のドラマを見た気がしないという人がいるかもしれないけど。


物語自体は、割と暗い感じで、主人公が働く料亭がなくなってマンションが建つかどうか、というストー
リーだ。
現実に、神楽坂に高いマンションが建っているかどうかは知らないけれど、路地の多い情緒のある街を
破壊される怒りが基調なんだろう。


もうひとつは、若者の働き方への提言があるのかもしれない。
学校の勉強ができなくても、職人として働けばいいじゃないか、というメッセージが込められている気が
する。
昔からそういう生き方はあったのに、無理して高校を出て会社員になろうとするからニートになるんじゃ
ないんですか? と。


職人顔の二宮和也が、きちんとした生き方をしている人物を好演しており、フリーター問題に一石を投じて
いるような気がする。


本文と写真はまったく関係ありません

||c| ・e・)<味加減のことを、塩梅(あんばい)というのだ