愛という名のもとに

愛という名のもとに DVD-BOX

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録画しておいた最終回をようやく見終えたので感想を書いてみる。
1992年放送だが、私は見たことがなかった。


このドラマは、社会に出た若者が大人になろうともがく話だ。
当時も時代遅れ感があったが、登場人物たちがみんな真面目でひた
むきである。


おそらくプロデューサーの大多亮や脚本の野島伸司の頭には、思春
期によく見ていたであろう、1970年代放送されていた、村野武範
中村雅俊主演の青春ドラマがあったに違いない。


このような生真面目さは、いまの日本からは完全に失われてしまい、
ダサいものになっている。
(が、一周回って熱血先生が活躍するドラマ「GTO」が製作されており、
ダサいけれども大事なもの、という位置づけになっているのかも)


真面目さの喪失は、社会が豊かになって進むべき目標が分からなく
なったからでもあるし、人間関係が情報によって絡め取られ、原則
論を語る奴は空気が読めないとされるようになったからでもある。


つまり、いまの視点でこのドラマを見ると、鈴木保奈美江口洋介
たちはかなりウザい奴になる。
そういう暑苦しさをクールに隠してドラマの主役になり、1990年代
から2000年ぐらいまで黄金期を築いたのが木村拓哉ではなかろうか。


その木村拓哉を主演に、大多亮は2004年に「プライド」というドラマ
を製作する。アイスホッケー部の体育会系の絆を描き出す物語は、
どこか「愛という名のもとに」を思わせるものだったが、私にとっては
時代錯誤な作品でしかなく、途中で見るのをやめた。


おそらく大多亮の才能は1990年代で燃え尽きたのだろう。
ポスト木村拓哉が誰なのかも、まだ決まっていないようだ。


愛という名のもとに」は、教育や福祉などに話を広げすぎて
とっ散らかった印象もあるが、面白いドラマだった。
携帯電話やインターネットが普及する前の社会の記録として見る
べきかもしれない。