- 出版社/メーカー: フジテレビジョン
- 発売日: 2004/08/18
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1992年放送だが、私は見たことがなかった。
このドラマは、社会に出た若者が大人になろうともがく話だ。
当時も時代遅れ感があったが、登場人物たちがみんな真面目でひた
むきである。
おそらくプロデューサーの大多亮や脚本の野島伸司の頭には、思春
期によく見ていたであろう、1970年代放送されていた、村野武範や
中村雅俊主演の青春ドラマがあったに違いない。
このような生真面目さは、いまの日本からは完全に失われてしまい、
ダサいものになっている。
(が、一周回って熱血先生が活躍するドラマ「GTO」が製作されており、
ダサいけれども大事なもの、という位置づけになっているのかも)
真面目さの喪失は、社会が豊かになって進むべき目標が分からなく
なったからでもあるし、人間関係が情報によって絡め取られ、原則
論を語る奴は空気が読めないとされるようになったからでもある。
つまり、いまの視点でこのドラマを見ると、鈴木保奈美や江口洋介
たちはかなりウザい奴になる。
そういう暑苦しさをクールに隠してドラマの主役になり、1990年代
から2000年ぐらいまで黄金期を築いたのが木村拓哉ではなかろうか。
その木村拓哉を主演に、大多亮は2004年に「プライド」というドラマ
を製作する。アイスホッケー部の体育会系の絆を描き出す物語は、
どこか「愛という名のもとに」を思わせるものだったが、私にとっては
時代錯誤な作品でしかなく、途中で見るのをやめた。
おそらく大多亮の才能は1990年代で燃え尽きたのだろう。
ポスト木村拓哉が誰なのかも、まだ決まっていないようだ。
「愛という名のもとに」は、教育や福祉などに話を広げすぎて
とっ散らかった印象もあるが、面白いドラマだった。
携帯電話やインターネットが普及する前の社会の記録として見る
べきかもしれない。