- 作者: 日垣隆
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/10/30
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私は、この本で著者が主張していることは以下の二つだけだと思う。
1.刑法三十九条
《一、心神喪失者の行為は、罰しない。
二、心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。》
の削除
(少なくとも第二項の削除)
2.精神障害者と精神障害犯罪者を弁別し、後者の刑事治療処遇施設を設立
何故そうしなければならないかを、これでもかという量のケースを取り上げて検証
しており、読んでいると、なんでこいつが無罪なのか、と思うような奴もいる。
ここ数年になってようやく、被害者の人権というものが語られ始めた。
何かに抑圧されていた声が、あぶくのようにあちこちから浮かび上がってきているように
思える。
本書によると
この年(96年)、日本全体で加害者には総額約四十六億円の国選弁護報酬と、食料費+医療費+
被服費に三〇〇億円も国が支出した。対照的に、被害者には遺族給付金と障害給付金を合計しても
五億七〇〇〇万円しか払われていない。
とのことである。どういうことだろうか。
ちなみに、犯罪捜査で現場をさんざん荒らされても、警察からは現状修復の費用は出ないのだ
そうだ。知らなかった。
それにしても、素人の私が不思議でならないのは、裁判で裁かれるのは被告の動機である、と
いう点だ。
例えば、AがBを殺したことが明らかに立証された場合でも、Aの心理がどうだったか(殺意の
有無や意識の状態)で、罪の重さが決まってしまうらしい。
だったら弁護士は、そのときのAの心理をウソでもいいから心神喪失にするだろうし、検察も
相手がそうやって無罪になりそうな場合は、起訴すらしないだろう。
(被告が無罪になった場合、検察官の出世に響くのだそうだ)
そういうのはおかしくないか? と疑問を持つのは、法律の専門家以外らしい。
私なら、そのときの心理がどうだったかに関わらず、結果責任による判決を出せばいいと思うが、
それでは人権が守られないのだろう。
あれほど勉強して司法試験を突破している人々が、なんでこんなことを放置しておくんだろう。
訴訟というゲームで勝つためには、ルールに精通しなければならない。
しかし、ルールそのものに疑問を抱いてはいけない。
なぜなら、そんなことを考えるとゲームをやっていけないから、ということか。
しかも、司法は法律を適用する立場であり、立法は国会議員の仕事である。
ところが、立法府の人々も、憲法を改正するのは熱心だが、明治時代に作られた刑法を改正するのは
無関心だ。票にならないからか?
このままだと、例えば殺人や強姦のような凶悪犯罪を犯しても、「東京タワーからの紫色の毒電波が
俺の頭を直撃して‥‥」などと言えば、罪が軽くなるかもしれない。
さすがに、詐病だとバレるか。
そうそう、第16章の人格障害者について読んでいて思い出したのが「診断名サイコパス」だった。
診断名サイコパス―身近にひそむ異常人格者たち (ハヤカワ文庫NF)
- 作者: ロバート・D.ヘア,Robert D. Hare,小林宏明
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何のためらいもなく行う人々のことである。
最初の方にある、凶悪犯罪者のリストを見ると、日本とはスケールが違うような気がする。
この本の原題は“Without Conscience”(良心の呵責がない)という。
なぜそういう人が現れるのかは、まだ謎らしい。遺伝か脳の器質障害なのか、それとも生育環境なのか、
原因は突き止められていない。
ただ、本の中にあるサイコパスの定義は、ちょっと性格が悪い人なら当てはまってしまうので、あまり
信用できない。
脳の研究が進めば、これはトンデモ本になるかもしれないな。
最後に、ズバリ「刑法第三十九条」という映画もある。
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入江雅人が小学生を蹴っ飛ばしているのを憶えている。
本文と写真はまったく関係ありません
从 ´ ヮ`)<‥‥心神喪失しとったけん、無罪?