スーパーマン リターンズ

これはもうネタバレしてもいいのだろうか? 
一応、隠します。


可もなく不可もないといった印象だった。
期待して見に行ったら、たぶんつまらないと思うだろう。
私は特に何の期待もなかったので、ちゃんとリメイクしてるなぁ、と思った。
テーマにジョン・ウィリアムズの曲を使ってるし。


しかし、この映画の製作者には、たぶん米国の正義について迷いがあったのではないかと
思われる。そのブレが、作品からカタルシスを奪っている。


もともとDCコミックスが原作なのだから、もっと能天気にバッタバッタと悪人をなぎ倒して
いればいいのに、そういうシーンはあまりない。銀行強盗が撃つバルカン砲をはじき返す
場面ぐらいだろうか。


それに、ヒロインは別の男と暮らしているし、子供までいる。
これは私の個人的な好みにすぎないのだが、ヒロインのロイス・レーンを演じている女優が
なんかパッとせず、ロマンチックな雰囲気がしなかった。
(これは、私がもともとキャリアウーマンが嫌いだからかもしれない)


それから、ロイス・レーンと同棲している新聞社の副編集長(だっけ?)もイマイチだった。
セレブで飛行機の操縦もできる、とてもいい奴なのだが、映画を見ている人の誰も、彼に
感情移入できないだろう。


一方、レックス・ルーサー役のケヴィン・スペイシーは貫禄の演技だった。
また、ロイスの子供ジェイソンが実に可愛い。物語の重要な鍵を握っているだけに、納得の
キャスティングだった。


そう、重要な鍵というのは、彼はロイス・レーンとスーパーマンの間に生まれた子供なのだ。
映画の中で明言されてはいないのだが、そう考えざるを得ない描写になっている。
ここが、なんか球を置きにいったというか、守りに入ったような印象で、確かに感動的なの
だが、孤独な存在でなくなったスーパーマンでいいのか、という思いもある。


言わずもがなだが、村上龍の「だいじょうぶマイフレンド」では、超人が射精すると大変な
ことになる、というネタがあった。
DCコミックス版でもそうだったみたいだが、どうやら、設定を変更したみたいだ。


続編もあるような物語になっており、宿敵レックス・ルーサーが復活するのかもしれない。
それにしても、なぜレックスはもっと知的な女性を側に置かないのだろうか? 
不思議だ。


野暮を承知で言うなら、スーパーマンは主に米国の正義を代表している。
だったら、それぞれの国の正義を代表するスーパーマンを作って、いっぺんに見てみたい。
中国のスーパーマンレバノンのスーパーマンはきっと面白いだろうな。