Boaz2013-10-17

昨日、映画「陽だまりの彼女」の感想を書いたあとで気がついた
ことがあった。


前に原作を読んだとき、これはラノベの向こう側にある小説だな、
と思った。
ラノベの向こう側」というのは、ライトノベルと一般娯楽小説の
中間ぐらいにあるイメージで、ラノベを卒業するぐらいの人が読む
と面白い小説なのでは、という意味だった。



私はラノベの良い読者ではないし、アニメ化された作品しか知らない。
なので素人の意見なのだが、ラノベのヒロインは主人公を最初から好き
で、他の男と比べることがない、という点が共通している。


つまり、【男←女→男】パターンの三角関係が最初から存在しない構造に
なっているのである。
そのかわり【女→男←女】パターンの三角関係はほぼ全ての作品に見られる。
さらに【女→男←女←女←女……】という構造を「ハーレムもの」と呼ぶ。
(→は恋愛感情の方向です)


ラノベは恋愛弱者が主な読者層だから、そういう設定でないと売れないのだ。
もしラノベのヒロインが、主人公ともう一人の男との間で揺れ動いていたら、
たちまちビッチ扱いされてしまうだろう。



不勉強なので、他の小説やマンガではどういう傾向にあるのか、広すぎて
分析ができない。
印象としては、少女マンガの多くは【男←女→男】パターンが多いような
気がする。


私の魂に刻まれているマンガだと、「めぞん一刻」がこのパターンで、
うる星やつら」はハーレムものだった(ベクトルの向きが逆だが)。
高橋留美子は偉大過ぎる。



さて、小説の方の「陽だまりの彼女」は、明らかにラノベから少し大人に
なった話だった。
相思相愛で、誰にも入り込む余地がない関係だったからこそ、最後の喪失感
が大きくなるのだ。


映画の「陽だまりの彼女」は、余計な三角関係を持ち込んだ。
玉山鉄二には気の毒だが、不必要な役で作品の価値を損ねている。


書いていて思ったが、全盛期の月9ドラマはほぼ【男←女→男】パターン
ではなかったか。
プロデューサーや監督は、いまだにトレンディドラマを念頭に映画を作って
いるようだ。


非モテの読者に向けた小説をリア充が映画化したらこうなってしまう
という典型例ですね。