博士の愛した数式

なんとなく見てみたかったので、今日は1000円の日だったし映画館に行ってみた。
ネタバレはしてないけど、畳みます。

映画は、手堅くまとまった小品で、落ち着いた印象だった。
交通事故によって、80分しか記憶が保てない元数学教授の寺尾聰が、飄々としたいい
演技だった。
深津絵里も、地味な家政婦役を好演していた。彼女は、派手な主役は似合わないが、
渋い脇役になるとバツグンだ。


物語の構成として、最初に吉岡秀隆が演ずる高校の数学教師が出てくる。
彼は深津絵里の息子が成長した姿で、生徒に昔のことを話していく。


その回想シーンが、映画のメインなのだが、ときどき現代の吉岡秀隆のところへ
戻ってくる。完全数とか友愛数といった、数学用語を授業で解説してくれるのだ。
これは上手い方法だと思った。


私は、この映画は教育について語っているのかなぁ、という平凡な受け取り方を
してしまった。
もっとも、基本的に善人しか出てこないから成り立つのだけれど。
(家政婦の息子が、かなりバカなガキだったら、この話は破綻する)


蛇足だけど、映画に出てくる冷蔵庫とか電子レンジなどの家電が、ちゃんと古いタイプ
だったのには妙に感心した。どこから持ってきたのだろうか? 
たぶん1980年前後のデザインだと思うけど。


なんとなく思っただけだが、原作の小説は、夏目漱石の「門」をベースに、藤原正彦
「心は孤独な数学者」を泡立てて、記憶障害や野球という果実を乗せたパイのような
構造になっているのではあるまいか。
いや、自分が読んだことのある作品に当てはめるのは強引すぎるな。


あ、家政婦さんとメイドさんって、制服を着ているかどうかという違いがあるだけで、
仕事は同じなんだな、と気づいたことも書き加えておきます。
どうでもいいか(^^;