阿久津先生は、どうやら米国型の市場主義を教室に導入したかったようである。
<お金を稼ぐ奴が正しい=成績がいい奴が正しい>
という概念を生徒に叩き込みたかったのかもしれない。
だが、行き過ぎた市場万能主義は、万民の万民に対する闘争を生み、強い人あるいは
運のいい人だけが成功する結果になりかねない。
だから、「なぜ人を殺してはいけないのですか?」という質問に対して、阿久津先生は
他人の痛みを知りなさい、と教える必要があった。
いちいち正しいのだが、これまでのドラマの内容を考えてみると、同じメッセージを
伝えるのに、別のやり方があったのではないかとも思える。
幸い、生徒たちは個人の自立と、クラス全体の共生という難しいテーマを消化して
みせた。
しかし、それは阿久津先生の教育が正しかったからか?
私にはそう見えなかった。
そこがスッキリしないのは、脚本家自身が混乱しているからかもしれない。