24時間テレビ

もう何年も見てないのだが、夏の終わりに日本テレビ系列で24時間テレビがある。
これを最初に実行したのは、日本テレビの名物プロデューサー井原高忠だ。
彼の語りおろし本「元祖テレビ屋大奮戦!」(文藝春秋)によると、

そもそもは「11PM」やっていた都築忠彦というプロデューサーが「井原さん、二十四時間のチャリティをやりたい」と言って来たのが、始まりなんです。
 これは絶対おもしろい。よし、やろう、と僕は即答した。ただし、これはネットワークからスポンサーから何から全部くどかなければできない仕事だ。ネットワーク各局といっても、うちの番組が全部通ってるわけじゃないですからね。ある時間TBS系の番組になったりフジテレビになったりするところもある。(中略)それはどうするか。

 さらに大問題は、全番組つぶしてやろうというんだから、平常番組についてるスポンサーが全部いやだっていうに決まっている。自分の番組がとんじゃうんだから。しかも、とんだにかかわらず、そこのとこは金払えっていうんだからね。だから、ここの時間帯には、そのスポンサーが好きそうな内容のものをやろうとか、実にめんどうな作業をやったわけですよ、まず。


とある。
つまり、この時点では、全国統一の系列放送というものは存在しなかったのである。

実際に24時間テレビ第1回放送が始まる。司会は萩本欽一大竹しのぶ

そうしたら、一回目に十何億だっけ? なんだかえらいことになっちゃったんですね。夜を日についで、子供たちが、びん詰めの10円100円を持って殺到してきた。(中略)
 おそろしいと思いませんか? 欽ちゃんが、寝ないで呼びかけただけで、日本中の子供が、貯金を持ってかけてくるっていうのは。(中略)
 ぼくはテレビっていうのはね、ものすごい力があると思う。だからうまく使わない手はないよね。

こうして番組は大成功を収めるわけである。
善意の募金もたくさん集まり、みんながいいことをしたという気分になれる。
だが、24時間テレビの制作費は、募金をはるかに上回るということに、当時の小学生だった
私は気がつかなかった。


毎年、こうやって続けられているチャリティ番組を否定するつもりはないし、集められた
善意の募金は素晴らしいと思う。


しかし、系列の地方のテレビ局からすれば、
現代の参勤交代
ではないかと思うのである。


あくまでも殿(キー局)の威光を示すために、地方の大名(系列局)が年に一回上京しているように見えるのだ。


100万人規模の人口がない地方都市は、スポンサーも魅力がないのだと思う。
かといって、自社製作の番組は人材がいないのか予算がないのか分からないが、かなり
ショボいものしかできない。


いくら地方の自立などと言ってみたところで、もはや都市に人材もお金も集中している
ことは明白なのだ。
地方の衰退は、いよいよ拍車がかかるのではないかと思う。哀しいけど。