- 作者: 鈴木翔,解説・本田由紀
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2012/12/14
- メディア: 新書
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「地位の差」、と定義している。
そして、なぜそんな「地位の差」が存在するのかを、アンケート調査と
生徒・教師のインタビューから考察している。
ただ、最後の「今後の課題」で書かれているとおり、スクールカーストの
研究はまだ始まったばかりなので、なんだかもやっとした感じは消えない。
インタビューした大学生にも
笑いながら、過去を振り返る学生もいれば、インタビューの途中で
泣きだしてしまう学生もいました。(p278)
とあり、どうにもやりきれなかった。
私が知りたいのは、スクールカーストの各層の進路や就職先である。
上位のグループは、必ずしも勉強ができるとは限らない、とあり、下位
グループに属していた子が高学歴を獲得できるチャンスもあるはずだ。
あるいは「コミュニケーション能力」に優れているとされる上位層が
就職活動においてどんどん内定をとっている可能性もある。
スクールカーストが、学校を卒業した後の人生まで拘束していると
すれば、こんな辛いことはない。
押しが強く、流行に乗っている人間だけが得をするシステムは、どう
考えてもおかしい。
(これは私の偏見だが、早稲田大学の学生はそういうタイプが多い
ような気がする)
↓
スクールカーストの上位層は、いわゆるギャルやイケメンが占めている
という。彼らは発言力を持ち、下位層に対して権力を有する。
教師も、その関係を利用して学級を運営していることがあるらしい。
ここからは私の勝手な妄想である。
スクールカーストの構造は、テレビのバラエティ番組における芸能人の
関係に似ている。
おそらく上位層のロールモデルは、人気のある芸人だったりタレント
なのだろう。
テレビでは、学歴や運動能力よりも、面白さが最優先されることからも
そう類推できる。
実際は、バラエティ番組にはディレクターや構成作家がいて、その上
にはプロデューサー、さらにスポンサーや広告代理店が存在する。
この枠組の中で、芸能人は仕事をしているにすぎないが、中学生や
高校生はテレビで放映された画面だけを見て模倣しているのでは
ないかと思われる。
つまり、スポンサーや視聴者がおらず、台本やディレクターさえいない
ぶっつけ本番のバラエティ番組を教室内で演じさせられているのでは
ないか、と私は考える。
(厳密には、視聴者は演じている生徒たちでもあるが)
これはプロの芸人でも相当きつい。
↓
なぜ、こんなことになったのか。
これも私の妄想だが、ダウンタウンやとんねるずたちの世代で、社会に
おける「笑い」の相対的な地位が急上昇したからではないだろうか。
面白い人=正義、という意識が世の中に深く浸透し、それが学校でも
反映されているのではなかろうか。
それは、真面目さとか勉強ができるという価値を相対的に低くして
しまった、と考えられる。
いわゆる地味系の子が、スクールカーストの下位にランク付けされる
理由である。
今後、スクールカーストごとに、どんなテレビ番組を好んでいるか、
どんな雑誌を読んでいるか、どんな人のブログをチェックしているか、
などを調べると、有意差が現れるかもしれない。
↓
私の仮説が正しいとして、学校でバラエティ番組の真似をやめさせる
にはどうしたらいいのか。
「こんなバカみたいなこと、やめよう」という転換点があればいいの
だが、どこから声を上げていけばいいのか、さっぱり分からない。
スクールカーストは、低視聴率でみんな打ち切りにしたいのに、どう
いうわけか続いているバラエティ番組のようなものか。