たまたまブックオフで売っていたので第1巻だけ買ってみた。
「ふと、微かな慨嘆に揺らぐ」とか「茫洋と凍りついたようだった
黒瞳が罅割れ」という妙に難しい言い回しや、むやみに出てくる
ドイツ語のフリガナで表現される中二病的文章、おじさんも
嫌いではないが読むのに疲れる。
まあ、これは「進撃の巨人」から派生したライトノベルのひとつ
なのだろう。
しかし、人種差別という深いテーマを扱うには、作者の力量が
不足していたように思う。
はたして作者は「夜と霧」を読んだことがあるのだろうか?
1巻を読み終えると、共和国は滅んでしまい読者に対する
カタルシスはある。アニメはそこを描いていなかったので
中途半端に終わった印象があった。
おそらく2期があるので間延びさせたのだろうが、これは
シリーズ構成が無能ではなかろうか。
↓
この手のデスゲーム的設定の話で気になるのは、主人公たちは
ゲームをうまくやることに能力を集中させているが、ゲームを
管理している人たちを攻撃することはあまり考えないことだ。
もちろん最終的に管理者が破滅する展開もあるのだけれど、
与えられた設定は覆せないものだと諦めているフシがある。
この小説でも、反乱することもできるだろうに、組織的な
抵抗はしない。いちおう反乱を抑える設定はあるのだが、
読んでいて不思議に思った。
作者の意図はよく分からないが、政治的に去勢された若者が
描かれているのは時代を反映しているのかもしれない。
自分たちが声をあげても世の中は何も良い方向に変わらない、
という諦めを抱かせたのは、ひとりの大人として申し訳ないと思う。
続刊ではどんな展開になるのか分からないのでアニメ2期が
楽しみではあるが、このラノベのどういうところが若者に
受けたのかに興味がある。
それにしても、サンマグノリア共和国の報道機関は国営のもの
しかなかったのだろうか。あと選挙制度がどうなっていたかも
気になる。
そうそう、作者は権利と義務がトレードオフの関係だと思って
いるようだが、権利とは何もせずとも備わっているものだという
のが近代以降の解釈です。