*[本]声優 声の職人

声優 声の職人 (岩波新書)

声優 声の職人 (岩波新書)

すごいキャリアの持ち主で、書いてあることももっともなことばかりな
納得の一冊だった。


そもそも、なぜ岩波新書で出すのか、という疑問があったのだが、
本文中に「編集者所蔵のオーディオドラマCD」の写真があり、
ははあ、さては編集者が腐女子で、森川智之の大ファンだったの
だな、と。


本書の巻末には、森川智之の出演作品の一部が時系列で一覧に
なっている。


注目すべきはBLCDの項目である。
主に女性向けのボーイズ・ラブ小説をドラマにしたものだと思うが、
1993年から記載が始まっている。
(それ以前の媒体はカセットテープだったそうだ)


翌年からだんだん増えていき、2000年から2011年ごろが最盛期に
なっている。おそらくBLCDの隆盛と同期しているのだろう。


なぜ2012年からBLCDは激減したのか、詳しいことは分からない。
私の推測では、スマホが普及してゲームの音声で楽しむ腐女子
増えたからではないか、というものだ。


そのあたりの事情を森川智之本人にも語ってほしかった。



あと、声優のことを語るのであれば、そろそろ音響監督の
オーラルヒストリーを集めておかないと、だんだん鬼籍に入る
人も多くなるので困るのではなかろうか。


それこそ岩波新書の仕事のような気がする。