目の見えない人は世界をどう見ているのか

タイトルどおりのことを記述している本なのだが、目が見えないことを欠落
ではなく別の可能性の扉として意識する、という内容だった。


読みやすく面白かったし、目の見えない人がどんな空間認識をしているのか、
少しだけ想像できた。


が、私はアニメやマンガが好きなので、いま視力を奪われたらかなり厳しい
とも思った。
盲目の人はどんなものにオタク的興味をそそられるのか知りたい。



本書を手に取ったのは、目の見えない人は数学をどう認識しているのか、と
いうことだった。
先天的に見えない人は、正方形とか平行四辺形、円と楕円、直角三角形などの
図形を、どのようにとらえているのか。


触って形をイメージするのだと思うが、二次関数のようなグラフはどうなの
だろうか。
中学の数学でよくある、二次関数と直線の交点を求めよ、みたいな問題は
健常者だと図を見れば理解しやすいと思うが、全盲の人はどうなのか。


そして、高校ぐらいまでの数学は視覚の方が優先されるかもしれないが、
もっと先に進むとどんどん抽象的な世界になるから、むしろ目の見えない人
の方が余計なことを排除して考えられるのでは、と思う。


数学者で目の見えない人はどのくらいいるのだろう? 


同様に、将棋や囲碁も、視覚的な情報はどのくらい思考に影響を与えている
のかも知りたい。
棋士は何もなくても脳内に将棋の盤面を再現できるが、やはり見えたほうが
いいのかどうか。



もうひとつは男性に限るかもしれないが、性的な妄想である。
これはかなり視覚の力を借りなければ育たないはずだ。


しかし、この分野も、もしかすると目の見えない人の方が脳内でエロいことを
考えられるのかもしれない。
聴覚と触覚は、視覚よりも密度が濃いような気がする。


それとも、盲人用のエロ本的なものが普通に流通しているのだろうか? 
下世話なことだが、決してバカにしているわけではなく、どういうことで
興奮するのかを単純に知りたいだけである。