予防接種は「効く」のか? 

予防接種は「効く」のか? ワクチン嫌いを考える (光文社新書)

予防接種は「効く」のか? ワクチン嫌いを考える (光文社新書)

実に論理的で、しかも素人にも分かりやすく書かれている。
ここまでリーダーフレンドリーな予防接種の本はないのではないか。
疫学について漠然とした知識しかない人は、ぜひ読んでみてほしい。


著者は「好き・嫌い」の判断は誰にでもあることなので、それを糾弾
しても仕方がない、という。
問題なのは「好き・嫌い」が「正しい・間違い」にすり替えられるこ
とだ、と指摘している。


子供は「ぼくニンジン嫌い」と言って許されるし、どうして嫌いなの
かも「だって嫌いなんだもん」とシンプルだ。


しかし大人は変に理屈をつけて感情を正当化しようとする。
それが重要な案件であるほど、問題はこじれてしまい、落とし所が分
からなくなる。
いま大変なことになっている原発も、そういう部分が多いのではない
かと思う。


ではどうすればいいかというと、私たちが感情をできるだけコントロ
ールするしかない。オトナになるのである。


もっとも、私なんかはたいていのことを「好き・嫌い」で判断してし
まう。それを自分の中だけにとどめておくぶんには、何の問題もない。


きっと公的なことに携わることが多い人ほど、「好き・嫌い」を抑制
しなければならないのだろう。
これって、教育でどうにかなるものなのだろうか?