遅ればせながら見てきた。
午後7時半からの回で観客は6人。
いや、すごい傑作を見てしまった。
2024年を代表するアニメ作品だし、ここ10年でも五本の指に入る
だろう。
すぐに押山清高という監督の名前を検索してしまった。
原作のマンガは2021年に発表されており、おそらく2019年の
京アニ事件が強い動機になっていると思われる。
描かれるのはクリエイターの業とでも呼ぶべきものだろうか。
こんなに辛いことがあっても、なぜ私はマンガを描くのか、を
誠実に答えていると感じた。
アニメーションの作画も異様な迫力に満ちていた。
「もっと絵がうまくなりたい」というモチーフに感化された
アニメーターがたくさんいたのではなかろうか。
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私がぼんやり思ったのは、ジョン・レノンとポール・マッカートニーが
出会ったときが、こんなふうではなかっただろうか、ということだ。
まだ何者かになる前の幸福な出会いが尊く美しい。
アニメーションでは藤野が京本の手を引っ張っていくシーンが
何度も印象的に描かれる。
マンガの表現をうまくアニメーションに昇華していて、監督の
手腕が見事だった。
思春期にこういう出会いがある人はどのくらいいるの
だろう?
そもそも、ほとんどは「絵を描くのを卒業しなよ」
と言う凡人なのである。
藤子不二雄みたいな結晶はめったにできないということか。
↓
京本の親が意図的に排除されているのはなぜか、という
疑問もある。
藤野の家族は描かれているのに。
誰か解説してほしい。