優れた文学作品は、読み始めてから終わるまでに、ちょうど3Dプリンターで
形作られるように、読者の心の中に何かを残す。
そして、その形は読者自身にしか分からず、他人と比較するためには、また
言葉でやりとりしなければならない。
ということを思いついたが、テクスト論はもう古いのだろうか。
作者が意図したような立体が造形されることはないが、似たような形には
なると思うし、そうでなければ共感することがない。
むしろ内容が粗雑であれば、造形も荒くなるので、読者が同じ形を形成
しやすいのかもしれない。