英語とデッサン力

アメトーーク!」の“絵心ない芸人”を笑ってみているうちに、
ふと思ったのだが、デッサン力と英語力というのは似ていないだ
ろうか。


義務教育では、9年間で図工や美術を学ぶ。
文科省の学習指導要領には、中学の美術の項目で、1年生の目標と
して

描画における形や色彩の表し方,彫刻などにおける立体としての
ものの見方や形体の表し方,意図に応じた材料や用具の生かし方
などの基礎的技能を身に付けること。

とある。


つまり、中2ぐらいで、人が見て何か分かるような絵を描けるよう
になっとけよ、ということだ。


では実際はどうか? 
いい大人なのに、小学生の段階から全く進歩していない人と、異常
にうまい人に分かれていて、私の勘では、下手:上手の割合は8:2
ぐらいではなかろうか。


なぜかというと、きちんとデッサン力をつけるためには、地道な
練習しかないのだが、絵に興味のある子でなければそんなことは
しないし、教師も保護者もそんな必要はないと思うので放置して
いるからだ。


社会に出ても、普通のサラリーマンや公務員が仕事で絵を描く必
要はまあないだろうし、ラクガキ程度でも許される。
なので、デッサン力はほぼ独学で習得されているといっていい。


しかし、そこは日本である。
マンガやアニメを支えるオタクたちは、絵が描ける人が一般人よ
り多い。この底辺の広さが、頂点の高さの理由である。


アメトーーク!」の番組の冒頭でも、絵心がない芸人に共通し
ているのは、マンガをほとんど読んでいないことだ、と言ってい
た。
(ただし、オタクだからといってみんな絵が描けるわけではない
ことは岡田斗司夫をみれば分かる)


一方、英語はどうか。
これもデッサン力と似たようなものではないかと思う。
爆笑するような絵しか描けないレベルの人がほとんどではなかろ
うか。


もっとも、英語の方は社会に出たときに必要だからと、必死で勉強
する人も多いだろう。
財界の圧力で、小学生から英語を学ばせるようになったことだし、
絵の能力よりはもう少しマシになっていくかもしれない。


ただ、日本人全員が正確なデッサン力を身につけられるわけがない
ように、英語も全員が話せるようになるわけではない。
どちらもセンスと努力の問題なのである。