アニメ「花物語」を見た。
西尾維新の物語シリーズは、私にとってマグロである。
世間では大人気だが、私は苦手である、という意味で。
そして、悪いのは私の味覚であって、作品ではない。
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いったい何が苦手なのか。
花物語を見ながら考えるに、登場人物の屁理屈を延々と聞かされるのが
苦痛だ、ということが分かった。
しかし、世の中には思弁小説というものがあって、読んだことはないけれど
埴谷雄高の「死靈」なんかはその代表だろうし、ドストエフスキーの「カラ
マーゾフの兄弟」にも次男のイワンがアレクセイに自分の思想を述べる部分が
有名である。
このような語り方が受け入れられるのは、作者が偉い人だからだ、と気づいた。
本来なら、作者がどんな人であろうと、書かれた内容だけで評価をすべき
なのだが、私はあらかじめ作者のポジションを確認してから話を聞いている
のである。
なんという心の狭さだろうか。人間としての器がこれほど小さいとは。
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つまり、私は作者の西尾維新を、ラノベ作家ふぜいが、と端からバカに
していたのである。だから、登場人物が偉そうなことを言うのに耐えられ
なかったのだ。
そんな奴に自分の作品を評価されたくない、と思うのは当然だろう。
しかも私は、原作の小説を読まず、アニメだけを見てつまらないと言って
いるのである。
(ちなみにアニメのスタイリッシュな絵は好きだが、読めないほど早く
出てくる字幕は大嫌いだ)
もはや営業妨害だと言われても仕方がないことだ。
幸い、この文章を読む人は日本で3人ぐらいだから、何の影響もない。
よかったよかった。
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私の西尾維新に対するイライラを募らせているもう一つの原因は、アニメの
放送直前に新聞に掲載される全面広告である。
個人的に「これ読んだことないでしょ?」シリーズと名づけているのだが、
私が読んだことのない本について登場人物が語っているのである。
西尾維新ファンなら全部読んでいて当然なのかもしれないが、作者だって
あまり読まれていない小説だからネタになると思っているのではないか。
そのあたりが中二病っぽくて嫌だ。
そんなに嫌なら読まなければいいのに、と思うでしょう。
ついつい読ませてしまうのが、西尾維新の力量なのだろうな、と最後に
褒めておく。