Boaz2012-11-13

本日付けの朝日新聞に載っていたベネディクト・アンダーソンの言葉。

 本来、ナショナリズムは未来志向なんです。考えてみてください。
私たちはなぜ税金を払うのか。それは、例えば公園や美術館を維持する
ためだと考えて納得します。


 その前提となっているのは、国家は将来も存続し続け、自分の孫や
子たちもきっとこの国で生き続けるという揺るぎない確信です。


 私たちは、国家があるからこそ、未来のため、まだ生まれもして
いない子たちのために行動することができる。


健全な愛国心と、民族主義や人種差別は違うのですね。

 通常のナショナリズムは、日常生活の一部であり、習慣やイメージであり、
空気のようなものなのです。


 例えば、テレビで天気予報を見るとします。
 その際、どうして日本各地の天気しか予報していないのか、などとは誰も
疑問を抱きません。


 テレビのコマーシャルが、すべて日本人を対象にしていることについても、
誰も注意を向けない。
 誰もが、『日本人』であることを当たり前に受け入れています。


 ですが、日本が国民国家としてスタートしたのはほんの百数十年前、
明治時代です。
 それまでは、自分は『日本人』だとは誰も思っていなかったはずです。


多国籍企業に勤めている人も、自分の祖国には特別の感慨を持っているの
だろうか。